蒼 穹 4
      真っ白な雲が良く映える蒼き空が広がる朝、退任式の前に女王陛下
      の謁見の間にジュリアスは居た・・。玉座には女王陛下のアンジェリー
      クその傍には女王補佐官のロザリアが居た。


      「・・ロザリア、悪いけど少しの間外に出ていてくれない」

      「それはっ・・・」

      「お願いロザリア・・・」

      「分かりました。それでは、私は別室に居りますので・・・失礼いたし
      ます。」


      ロザリアが謁見の間を後にすると部屋にはアンジェリークとジュリア
      ス2人だけが残された。


      「やっと2人っきりになれましたね。ジュリアス様」

      「恐れながら、女王陛下・・。私とその様に・・・」

      「いいえ、ジュリアス様はジュリアス様です。今は私とジュリアス様
      以外は誰も居ないのですから、前のようにして下さい。」

      「ですが、その様な事は出来ませんっ」

      「分かりました。じゃぁ、これは命令です!以前のように私と接して下
      さい」


      女王となっても変わらないその無邪気な笑顔が悲しみに沈んだ心を穏
      やかにしてくれる。


      「分かりました。」

      「ほら、ジュリアス様。もう間違えている」

      「まったくそなたには適わぬな・・アンジェリーク・・これで良いのか?」


      ジュリアスが苦笑を浮かべながら、そう言うと名前で呼ばれたのが嬉し
      かったのかアンジェリークはまるで、花が綻ぶような微笑みを浮かべる
      ・・・。しばらく2人は女王候補生の時の話をしながら穏やかでそれでいて
      とても優しい時間を過ごした・・・。そして、最後に以前に1つだけジュリ
      アスの願を叶えたいとアンジェリークは言っていたことをもう一度聞い
      た。


      「それで、ジュリアス様・・・。この間の事ですけれど本当にこれで良いん
      ですか」

      「あぁ、頼む・・・」

      「だってそれじゃ、クラヴィス様はどうなるんですかっ」

      「クラヴィスの為でもあるのだアンジェリーク・・・。」

      「だって、そんなのあんまりにもジュリアス様が・・・クラヴィス様が・・・
      悲しすぎます・・・そっそんなの・・・・・」


        アンジェリークは瞳に溜まる涙珠を流した。


      「そなたは、優しいのだなアンジェリーク。私の為、あの者の為に泣い
       てくれるのか・・・」
 
      「・・・だって、だって・・・」

      「あの者の為なのだ・・・。頼む・・アンジェリーク、私の願を聞いてくれ・・
       ・・」

      「・・・本当に良いんですか?」

      「・・・あぁ」

      「クラヴィス様を傷つけると分かっていてもですか?」

      「・・・私の心は変わらない」

      「分かりました・・。では退任式が終わって、聖地の門を潜ったら・・ジュリ
       アス様のお望みの通りに−−−−−−」

      「ありがとう・・・。アンジェリーク」


      感謝の意味を込めてジュリアスはアンジェリークを抱きしめた・・・。


      「アンジェリーク、そなたと出会えて本当に良かったと思っている・・・」

      「私もです、ジュリアス様。さようなら・・・。どうか、お元気で・・・」






      退任式は滞る事無く、無事終わり昨夜別れを告げ再会を約束したクラヴィ
      スとは瞳で語り合い・・・。守護聖に見送られ、長年過ごして来た聖地を去る
      ときが来た・・・。守護聖にと向かえられた日に潜った門を守護聖の任を解か
      れた今、この門を潜り下界へと降りる・・・。


      「それでは皆、躰を厭うのだぞ・・・」

      「えぇ、ジュリアスも躰を大切にして下さいね・・・。」


      ほんわいりとした口調で地の守護聖・ルヴァが言うと重みのある門が開い
      た・・・。


      「では、皆達者でな・・・」


      (・・・この門を潜れば、聖地のこと、そしてクラヴィスのことも・・・)そう
      思いながらも別れを惜しむようにゆっくりと門を潜る・・・・。


       キィィー・・ガシャン・・・・


      ついに聖地の門が閉められた・・・。その音を聞きジュリアスは敏捷に歩き出
      しす・・・。そして・・・・、






      



      −−−−−−そして、クラヴィスと約束した空を
                   ジュリアスは二度と見ること
                               は無かった−−−−−−

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