蒼 穹 5
        月日は流れて、いよいよクラヴィスのサクリアが尽きる日が来た・・・。

        
        「・・・どれほどこの日を待ったことか・・・」

        「クラヴィス様。とても嬉しそうでございますね・・」


         クラヴィスのサクリアの消失を感じ、懇意にしていたリュミエールが
        執務室に訪ねて来ていた・・・。


        「あぁ、やっと会いに行ける・・・。」

        「クラヴィス様の心をそんなにも春の日差しの様に和ませてくださる方
        に会いに行かれるのですね・・・。」

        「あぁ、そうだ・・。あれは私の天使なのだ・・・。」

        「そうですか、聖地を出られたらどうなさるのかと心配申し上げて居り
        ましたが・・・。クラヴィス様に希望の天使がいらっしゃるのならば、心配
        など必要ありませんでしたね・・・。」


         春の微風の様な微笑みを浮かべながらリュミエールが言う・・。


        「心配しすぎなのだ・・・お前は何時も」

        「ふふっ・・・」

        「何だ・・・」

        「いいえ、何でもございません」


         以前なら、身体中から近寄りがたい雰囲気を出していたクラヴィスも
        今はそれがない事がリュミエールには嬉しかった・・。ジュリアスが居なく
        なってからと言うもののクラヴィスは何時も塞ぎがちだったのだ・・。それ
        が、闇のサクリアが尽きてからと言うものの毎日、毎日それは嬉しそう
        に最後の日に向けて過ごしていた・・。


        「・・・コンコンッ」


           その時、クラヴィスの執務室のドアがノックされた。


        「クラヴィス、お話中申し訳ありませんが中に入っても宜しいですか?」

        「あぁ、入るがいい・・・」

        「失礼いたします。リュミエール、申し訳ありません・・・お話中に、」

        「いいえ、それよりもロザリア、どうなさったのですか?」

        「えぇ、クラヴィスにお会いしたいと陛下から仰せつかったものですか
        ら・・・」

        「何かあったのでしょうか?」


         リュミエールが心配そうにロザリアに聞いた・・・。


        「いいえ、違います。お話したいことがあると仰られてました。」

        「話だと・・・?」


         不思議な面持ちでクラヴィスはロザリアを見る。


        「えぇ、謁見の間でお会いしたいそうです。今から来ていただけますか?」

        「あぁ、分かった。ではな、リュミエール」

        「ごきげんよう・・・」


         そう言うとクラヴィスとロザリアは歩き出した・・・。女王の待つ謁見の
        間へと・・・。残酷な告白が告げられる・・・悲愴の間へと一歩、一歩近づく
        ・・・。外に吹きあれる風が悲茄の音に似ていた・・・。 



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