天使のあくび 9
             クラヴィスは執務室での仕事に追われていた。到底、1人では出来ない量の書             類の数々・・・。ジュリアスはこんなにも多くの量の仕事を1人で片付けていたのか             と思うと心底驚く。              「あの者も人に手を借りると言うことを知らぬからな・・・。」              だから、この様に書類を1人でため込むのだろう・・・。執務が好きなのかそれと             も人を信用できないのか・・・・。前者の事を思うと「そんなにしては身体が持たぬ             だろうと」腹が立つ。そして後者の事を思うと「対と言われる自分が信用できぬ             のかと」悲しさを感じる。              それほど自分はあの者から見て頼りが無く、信用のおけぬ者なのだろうか・・・。             過去の自分を振り返りそう言う人物であったと言うことを思う。ジュリアスが頼             んできた仕事を遅らせる。書類のサインは書き忘れる。遅刻する。寝る。さぼる。             それもクラヴィスがジュリアスを信用できるからこそ出来たことだと今さらなが             ら感じる・・・・ジュリアスが首座であの様に真面目だからこそ自分はだらけても他             の者、つまりジュリアスがやってくれるのだと言う安心感のような物を持ってい             た。だからこそ今迄その様に暮らしてきたのだ。だが、それも昨日で壊れた。              皆の頼れるジュリアスは単なる小さな子供と化した。ジュリアスの背負ってい             た重圧はおのずとも皆に分散され。皆クラヴィスが思う以上に今迄ジュリアスが             背負っていたものの重さを感じていた。              「これからは、私も頼りすぎてはいけないと言うことか・・・」              書類を見る眼を休め水晶球を見れば水晶球はただ静かに夕陽が落ちた空を写す             ばかり。              「早くこれを仕上げてジュリアスを迎えに行かねばならぬな・・・」              一つ溜息を吐くとルヴァの館で預かっているジュリアスの事を心配しクラヴィ             スはただ黙々と仕事をこなす。仕事が終わるまで後2時間ほど掛かりそうだった。              ジュリアス達がルヴァの館では、泥だらけの2人を綺麗にするためマルセルと             ジュリアスはお風呂に入れられていた。              「綺麗になるまで出てくるんじゃないよ!」              「ゆっくり温まって下さいね〜」              そう言ってオリヴィエとルヴァはジュリアス達を浴室に押し込んだ。              「あいたたー!お風呂から出てから着るもんが無いじゃないのよあの2人。ル               ヴァの館にはどうせろくなもんがないんでしょ」              「あぁ〜すみません。私の着るようなものはあるのですがジュリアスやマルセ               ルが着れるようなものは無いですねぇ」              「しょうがないねぇ、ちょっとひとっ走り取ってくるよ!それまで2人が出               ちゃわないように言って置いてね!」              「はいはい、分かりましたよぉ〜」              オリヴィエはそう言うと足早に服を取りに去っていった。              「本当にこう言うことに関してはオリヴィエは良く気が利きますねぇ〜」              とうんうんとオリヴィエが出ていった扉を見ながら1人頷いていた。
≪BACK NEXT≫