天使のあくび 10
オリヴィエはマルセルとクラヴィスの館に行くと恐縮に恐縮を重ねるそれぞれ執事
達を「気にすること無いよv」とかわし適当に着る物を調達しすっかり日も暮れ道を
歩いていた。
「はぁ〜、すっかり日も暮れちゃって・・・。」
感慨深げにひょっこりと姿を見せ始めた月を見ながらゆっくりと歩みを進めた。
「おい、オリヴィエ。お前何やってるんだ?」
聞き覚えのある声に振り返るとその声の主は悪友オスカーだった。その隣にはリュ
ミエールがハープを携えて立っていた。
「アンタこそリュミちゃんとご帰宅?珍しいんじゃない?水と油の癖して・・・」
「ひ弱なリュミエール様がルヴァにお届け物をしたいってな。俺はその付き添いだ
ルヴァの館にジュリアス様がいらっしゃるらしいから・・・本意じゃないんだが一
緒にいるってとこか・・・そう言うお前はどうしたんだ?そんな洋服か抱えちまって」
オスカーはオリヴィエの持つ洋服を指を差して言った。隣ではリュミエールが先程
のオスカーの言いように随分とご立腹のようである。
「えっ?あぁコレ?マルセルとジュリアスの洋服だよ★」
「マルセルとジュリアス様のですか?」
「うん、そうvあの2人泥遊びして服汚しちゃってね今お風呂に入れてるトコ。だ
けどさぁ〜着替え持ってくんの忘れちゃってアタシが取りに行ってたんだ」
「全く大変だよ」と言いながらも何処か嬉しそうなオリヴィエを見て「そうですか」
とリュミエールは微笑んだ。
「何さ、リュミちゃん笑ったりして・・・なんか可笑しい?」
「いえ、そう言うのではないのです。オリヴィエ・・・」
「そう言うのではないって?どう言うこと・・・」
オリヴィエは心底分からないと言う風に首を傾げる。
「あぁ、何となくお前の言いたいことが分かったぜリュミエール。」
「ナニよ!オスカーまで何だって言うのよ!」
語気も荒くオリヴィエが2人の前に大股を開いて立ちふさがる。
「少し変わったなと思ってさ」
「ええ、そうですね。オリヴィエ貴方少し変わりましたよ。とても良い風に・・・」
「アタシの何処が変わったって言うのサ!別に何処も変わってないよ肌の艶もこの
美貌も!!何処が変わったのか言ってごらんよ!!」
「それは、別に私の口から言うことではありません。でも、オリヴィエ・・・貴方とて
も素敵になりましたよ」
リュミエールはそう言葉を濁した。オスカーにも問い詰めてみようとしたがオスカ
ーはその雰囲気を察したのかツッと視線を逸らす・・・。
「そんな素敵な変化なら教えてくれたって良いじゃないのよ!」
「直ぐに教えちゃつまんないだろ?自分で気が付いた方が良いと思うぜ俺は・・・」
「そうですね。オリヴィエ、人に教えられて貴方がもしその事を恥じてしまったら
貴方のその素敵な変化はそれ以上にはならないでしょう。もしかしたら貴方は以
前に戻ってしまうかも知れない・・・。ですから、貴方が気が付くまで私たちは言
わないでおきますね」
人差し指を唇に当ててリュミエールはにっこりと微笑んだ。オスカーもまた隣で唇
の端を少しつり上げて人の悪い笑みを浮かべている。
「もう良いよ!別にアンタ達の言う事なんて気にしないもぉ〜ん!あ〜あ、こんな
人達に付き合ってらんないよ。アタシ早くルヴァのところに行かなきゃ★あの子
達のぼせちゃうよ!バイバーイ」
オリヴィエはそう言い捨てると2人を残して足早に歩き出す。
「オイオイ、行くところは一緒だろ?待てよ、オリヴィエ!」
「オリヴィエ、待って下さい。私も一緒に参りますから・・・」
3人はじゃれ合うように走り出した。何時もは落ち着きそう急くこともないリュミ
エールが大人な態度を崩さないオスカーが・・・そしてその場の雰囲気に合わせつつも何
時も何処か冷めているオリヴィエが・・・・笑いあいながらルヴァの館へと向かった。
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