天使のあくび 8
            「きゃぁ〜〜〜っ!!何してたのよジュリアスゥ〜」             マルセルの館にジュリアスを迎えに来たオリヴィエは悲鳴を上げた。             「こんなに洋服汚しちゃって、マルセルッ!何をさせたの」             オリヴィエはジュリアスに走り寄って服に付いた泥を落とす。             「ごっ、ごめんなさい!オリヴィエ様、花を植えるのをお手伝いして貰ったんで              す!何か着せてあげればよかったんです・・・ごめんなさい」             「ごめんんさい、ごめんなさい」と何度もオリヴィエに頭を提げて謝るマルセル             の前にジュリアスが短い腕を両手いっぱいに上げて庇うようにして立ちはだかる。             「オリヴィエさま、マルセルさまいじめちゃダメ−−−−−っっ!」             「ちょっと、ちょっとジュリアス。アタシはマルセルのことを虐めてなんかいな              いよ。ちょっとルヴァ何とか言ってよ!」             今迄のほほんとその風景を見ていたルヴァはじっとオリヴィエを見上げ続けるジュ            リアスの前に“よっこらしょ”と座り込む。             「ジュリアス。マルセルと遊んで楽しかったですか?」             「・・・・・。」             マルセルを虐める人間がもう1人増えたと思っているのか、ルヴァの問いにジュ            リアスは口を噤んで答えない・・・             「マルセルの事は虐めませんから、ほら指切りげんまんをしましょうね。はい、              げんまん!」             小指を小指を絡ませて指切りげんまんをした。             「ほんとうに?マルセルさまのこといじめない?」             「えぇ、本当ですよ。ジュリアス、マルセルと遊んで楽しかったですか?」             「うん、とってもたのしかった。あのね、まぁるいのつちにいれるとおはながさ              くんだって!あそこのおはなマルセルさまがさかしたんだよ!」             「それでね!それでね!」と嬉しそうにジュリアスが話す。             「それじゃ、楽しかったんですねぇ〜。ジュリアス」             「うんっ」             にっこりと笑って答えるジュリアスの顔につられてルヴァの顔もにっこりと微笑む。             「・・・と言うことでね。オリヴィエ」                          すくっと立ち上がってオリヴィエの肩をぽんっと叩く。             「“と言うことでね”ってアンタどういう事よ!」             「良いじゃないですか、遊びで服を汚すだなんて子供の領分ですよ。元気で結構、              結構・・・。」             「でもアタシの作った洋服がぁ〜」             「洗えば元通りになりますよ、それにジュリアスは子供の時こういう遊びをしな              かったと聞いています。せめてこの姿の時だけでも大目に見てあげて下さい。              貴方もあったでしょう?子供の頃に遊びで服を汚して怒られたことが・・・」             「そうだねぇ〜。確かにあったカモねとぉ〜い昔になっちゃたけど・・・」                          昔を思い出して自然と口元が緩む。             「あん時はこっぴどく怒られたっけねぇ〜」             「うんうん、そうでしょう。だからねオリヴィエ、許してあげて下さい」             「そうだねぇ〜、許してあげるか!」             「ありがとうございます。オリヴィエ」             くしゃっとジュリアスの髪を撫で上げて「怒ってごめんね」とマルセルとジュリ            アスに謝った。             「さぁ、帰ろうかね。ジュリアス」             「どこに?」             「ルヴァのお家」             「クラヴィスさまは?」             「あ〜クラヴィスはお仕事で帰りが遅くなるんですよ。ですからクラヴィスが帰              るまで待っていましょうね。」             「・・・・・かえってこないの?」             「そう、お仕事が終わるまで帰ってこないんですよぉ〜。」             ルヴァがそう言うと少し寂しそうに俯き下唇をぎゅっと噛み締めた。              (あぁ、泣くかなコレは・・・)              (オリヴィエ、どうしましょう。あやし方なんて私には分かりません〜)              (あっ、アタシだって分かんないよ!)             と2人があたふたしているとすかさずマルセルがしゃがんでジュリアスの両手を            優しく握った。             「僕も一緒に行くからクラヴィス様が帰ってくるまで一緒にいようねジュリアス              様・・・ねっ、ルヴァ様良いですよね!」             「えぇ、是非お願いしますよ。マルセル」             「やったね。」と微笑み合う2人にルヴァは安心してホッと胸を撫で下ろした。              (良い、保育士が出来たじゃない)              (えぇ、マルセルには助かります)             「マルセルさまといっしょ?」             「そうだよ。一緒にルヴァ様のお家に行こうね」             「うんっ」             元気良く歩き出す前の2人を見ながらオリヴィエとルヴァの2人はやれやれと苦            笑を漏らした・・・・。                  
≪BACK NEXT≫