天使のあくび 7
                  「ジュリアス様、何をして遊びましょうか・・・」            仲良く手を繋ぎながらマルセルは宮殿を後にしていた。常春の聖地では今日も良い           天気で空は青々と澄んでいた。すれ違う人々が金色の髪をした2人を振り返っては見           る。           「あっ、そうだ!ジュリアス様お花植えるの一緒に手伝って下さいますか?」           「おはな?うえるの?」           「はいっ」           「ぼくもおてつだいするー」           「じゃぁ僕のお屋敷に行きましょう・・・えいっ!」            抱き上げたジュリアス様はとっても小さくて軽かった。何時ものあの厳しいジュリ           アス様からは考えられないくらい言葉は拙いし、幼いし、可愛い・・・こんな小さな時も           あったんだなぁ〜としみじみと僕は思っちゃうんだ。           「さぁ、着きましたよ!ジュリアス様」           「わぁ〜おはながいっぱいあってきれい」            マルセルの館の庭に着き抱き上げていたジュリアスを地面に下ろすとぱたぱたと花           壇に近寄る。           「このおはなぜんぶマルセルさまの?」           「う〜ん、そうだよ!僕が前の守護聖様に教わって咲かせたんだ」           「マルセルさますご〜い!」            「すごい!すごい!」と弾むジュリアスをマルセルは何処か気恥ずかしく感じなが            らもこんなに人に褒めて貰った事なんて無かったかも知れないと思っていた。何時            の間にか容姿も声も性格も違うジュリアスを本当の子供に接するようにマルセルは            接していた。           「ジュリアス様もお花達が咲くの手伝ってね」                  「うんっ!」            ニッコリと微笑むジュリアスの頭を優しく撫でてあげ「髪がこのままだと邪魔だね」           と言ってマルセルはジュリアスの髪を一つに束ねた・・・。           「マルセルさまといっしょ−っ!」            そう言ってジュリアスは後ろに流れる自分の髪をマルセルに見せた。             「そうだね。ジュリアス様と一緒だね。」            2人は笑いながら新しい花壇の土を掘り起こした。           「マルセルさまおはなは?」           「これだよ」            僕はジュリアス様にお花の球根を見せたんだけれど何だかジュリアス様の反応がない           いんだけれど・・・どうしちゃったのかな・・・。           「マルセルさまのウソツキ」           「えっ!?」           「これおはなじゃないもん!」            ジュリアス様はぷっ!とほっぺを膨らまして僕を見た。あぁ・・・そうか。お花が咲いた           まま植えると思っていたのかな?球根や種から成長するの知らないんだ。ふふっ・・・ジュ           リアス様可愛い!           「この球根がね・・・そうだなぁ、ほら・・・」            マルセルは芽が出たばかりの花を見せてやり、「それで次はね」と少し成長をしたもの           を見せる「それで次は・・・」と蕾のふっくらとしたものを見せ「それでさっきジュリアス           様が見たのはこれなんだよ!」と蕾も綻び赤や黄色白やピンクの花を見せた・・・。           「お花はね、最初から咲いているんじゃないんだよ!こういう球根から土に植えてあげ            て“大きくなぁ〜れ”ってお水をあげると綺麗なお花が咲くんだ。」           「じゃぁぼくも、大きくなぁれっていったらおはなさく?」           「うんっ。とぉ〜っても綺麗なお花が咲くと思うよ!」           「マルセルさま、はやくつちにいれてあげようよ!」           「そうだね!」            僕たちは一生懸命球根を植えた。途中ジュリアス様の洋服の袖が下がってきたりし           たからそれを上げてあげたりして・・・。何だか僕お兄さんになったみたい!だって僕よ           り小さな子ってあんまりないし・・・。何だかこう言うジュリアス様を見ていると僕も           ジュリアス様と変わらない扱いを受けていたのが分かる。皆に甘えて来ちゃったなぁ           って思うんだ。特にリュミエール様とか・・・何時もジュリアス様に「子供だからと言っ           て守護聖であることの重責を間逃れると思うな・・・マルセル。人として人を生き物を           世界を育て育成していくのだ・・・・自分の行動に責任を持て」って言われているのに皆           が甘やかしてくれるから・・・そこが気持ち良いからついつい甘えちゃって・・・。僕ももっ           と大人にならなくちゃ!だって、僕はお兄さんだもん!           「ねぇ〜マルセルさま、いつおはなさく?」           「もうちょっとしたら咲くよ」           「たのしみだな〜」           「そうだねぇ」                       膝を抱えて植えたばかりの球根を見続けるジュリアス様の横顔はニコッリ笑ってい           てとってもとっても可愛かった・・・。       
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