天使のあくび 6
                  クラヴィスとオリヴィエが出仕した宮殿ではそれは大騒ぎになった。女従達はジュリ          アスの可愛らしさに騒ぎそれをオリヴィエが「アレ、アタシが作ったの!可愛いでしょ」          と同意を求め走り・・・男達はクラヴィスが見張っていないとジュリアスを撫で回しそうな          勢いだった・・・。危険を感じたクラヴィスはその場の喧噪を逃れて自分の執務室にジュリア          スと隠った。           「吃驚しただろうジュリアス」           「ううん・・びっくりしなかったよ。でも・・・・」           「でも?」           「オリヴィエさまのにおいが・・・・」           「クッ・・・苦しかったか」           「うん」           クラヴィスはジュリアスをあやすように頭を撫でる。その時、ノックの音が響いた           「・・・・入れ」           入室の許可を貰って入って来たのはオスカーだった。           「クラヴィス様、書類のお届けに参りました」           オスカーは膨大な量の書類を執務机に置いた。           「ジュリアス様のなされる執務の分も入っておりますのでお願いいたします・・・・」           そう言い切ったところでようやくジュリアスに気が付いたオスカーはアイスブルーの          瞳を見開きジュリアスを凝視する。           「ク、クラヴィス様・・・・ジュリアス様のこの格好は・・・・」           「あぁ、オリヴィエに任せたらこういう事になった・・・・まぁ大凡は予想が付いていた            がな・・・・」           盛大な溜息をクラヴィスは吐いた。オスカーは膝を折り曲げジュリアスと同じ視線に          なると頭を提げ朝の挨拶をした・・・           「お早うございますジュリアス様。」           その言葉にクラヴィスはハッとしてジュリアスを止めようとするが・・・           「ちゅっ!おはようごさいます、オスカーさま」            すんでの所で間に合わなかった・・・。オスカーはガラにも頬を少しだけ赤くし硬直して          いる。クラヴィスはオリヴィエの事を恨んだ・・・。           オリヴィエめ、いらぬ事をジュリアスに教えよって・・・・。変な習慣が付いてしまった          ではないか・・・           「ジュリアス様ーっ!!」           硬直を解き感極まったオスカーはジュリアスを抱きしめる。           「オスカー血迷ったかっ」           クラヴィスはオスカーをジュリアスから引き離し執務室から引きずり出す。           「恐ろしかっただろう、ジュリアス・・・これからオスカーとは2人きりでは会っては            ならぬぞ・・・分かったか?」           「なんでオスカーさまとあっちゃいけないの?」           「オスカーは危険で危ない奴なのだ。だから、オスカーに会う時は必ず誰かに言って            から会うのだぞ・・・」           「はぁ〜い」           ジュリアス元気良く返事をした・・・。           「クライヴィスさまはここでなにをするの?」           「あぁ、今オスカーが持ってきた書類を読んでサインをするのだ・・・」           「ふぅん」           子供でも分かりやすいようにクラヴィスは言葉を砕いて話した           「終わるまで待っていられるか?」           「うん」           ジュリアスの返事を聞いて安心したクラヴィスは何時もは到底考えられぬ早さで執務          をこなしていくがジュリアスの執務の量と言ったら並み半端ではない・・・・書けども書け          ども執務が終わらない・・・           「クラヴィスさま・・・まだおわらないの?」           クラヴィスの袖をツンツンと引っ張ってジュリアスが言う           「あぁ・・・すまないな。これでは当分掛かってしまいそうだ・・・お前も退屈だろう誰か            遊んでやれるものが居ればいいのだが・・・」           きゅーっと腕にしがみつくジュリアスの頭を撫でて考え倦ねているとまた扉のノック          の音が響いた・・・。           「あのークラヴィス様」           その声から察するに緑の守護聖マルセルだった。           「入れ・・・」                       クラヴィスの声を聞いておずおずと入ってきたマルセルは「ジュリアス様にお渡しす          る書類は全てこちらに回せとオスカー様に言われたので」と言って書類を渡し早々と帰          って行くマルセルをクラヴィスは思い付いて呼び止める・・・           「マルセル」           「はい」           「そなた、今日の執務は終わったか?」           「はい、今日僕はその書類だけなのでもう終わりましたけれど・・・」                     「では、コレと遊んでやってくれ」           今迄、執務机に隠れて居たジュリアスの背を押してクラヴィスはマルセルに頼んだ。           「私にはやらねばならぬ事が多くてな・・・遊んでやっている暇が無いのだ。頼んだぞ」           「はい」                      マルセルは「ジュリアス様、行きましょう」と言うと手を繋いで執務室を後にした。          昨日一通りの守護聖に会ったとは言え少し不安そうな顔をするジュリアスをクラヴィス          は微笑んで見送ってやった・・・・。           
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