天使のあくび 19
「何でも良い!ジュリアスを探し出せっ!」
クラヴィスの怒号が邸に響く。ジュリアスが居なくなったという事でクラヴィ
スの邸に集められた王立研究院、聖地の警備、そして守護聖全員。1つの部屋に
集められクラヴィスの言葉を聞くと一斉に散っていった。
「ちょっとぉ、大げさすぎるんじゃないの?その内に戻ってくるって・・・・」
「・・・・・・」
「きっとちょこっとだけ外に出てただけなんだよ。あんまり事を大きくすると帰っ
てきずらくなるよ。」
「・・・ジュリアスは今迄1人で外に出たことはない。外に出るときは必ず誰かと行
くように言っているのだ。小さくなったとは言え首座の守護聖なのだからな何か
あってからでは遅いのだっ」
苦虫を潰すような苦い顔でクラヴィスは掌を握りしめる・・・。
「そりゃそうなんだけどぉ・・・・・・」
幾ら可愛いからってジュリアスのことに関して過保護すぎるのでは?とオリ
ヴィエは二口を開けなかった。今のクラヴィスはこれ以上何か言えば殺されそ
うな雰囲気だったからだ。
「・・・・・・そう言えばオリヴィエ」
「なっなに!?」
「お前が言っていた迷子防止の探知機はどうしたんだ・・・・。」
「あっ・・・・・アレ?何だか壊れちゃったみたい・・・・なんにも反応しないんだよね」
「壊れただと?・・・・・・壊れる要素は?」
地を這うような声にオリヴィエは竦み上がる。
「要素は・・・・・電波が届かない所にいるか、探知機が水に浸かる、衝撃で潰れるも
しくは破損している・・・・・そんな所なんだけど・・・・・」
「水に浸かる?衝撃で潰れる?それは・・・・どう言うことなんだっっっ!」
バンッッ!!!
とクラヴィスは力の限り壁を叩く。余りの音の大きさに残っていた皆が何事か
と2人を振り返る。
「おっ、おこんないでよぉ〜私はあくまでも・・・・」
【要素】を言っただけなのにぃと言えないオリヴィエはすごすごとクラヴィス
の視界から退散する。
「誰でもなんでもいい・・・・ジュリアスを早く探しだしてくれ・・・・」
クラヴィスはふらりと立ち上がると邸の外へ出て自分もジュリアスを探しだ
した。小さくなってもなお、衰えることのないジュリアスのサクリアは心が騒ぐ
クラヴィスには微量なものも感じ取れずにいた・・・。
「チッ、不味いな・・・・暗くなる前に探すぞ」
そう言って皆の志気を高めるオスカーの声もクラヴィスの耳には届かない・・・。
あらゆる雑音をシャットアウトしジュリアスの言葉をただ受け止める為にクラヴィ
スは歩き続けた・・・・。
「ジュリアス・・・・・ジュリアス・・・・・・ジュリアス・・・・・・」
うわごとの様にジュリアスの名前を呟くクラヴィスは自分でも気が付かずに
いた。
あれ程苦手としていたジュリアスを
これほどまでに心から求め
そして
この感情が果たしてなんという【名前】なのか・・・・・
その答えは
今だ分からずにいた・・・・・
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