ストローク
「そうですねぇ・・・始めに何を話したら良いのでしょうか・・・・。これは、ジュリアス
のプライバシー、個人的な内面の事ですからねぇ・・・」
ルヴァはとても慎重に言葉を選びながら一言一言話し始めた。
「オスカー、貴方はジュリアスが5歳と言う幼さで守護聖になったことは当然知って
いますよね・・・・」
「あぁ、勿論だ。」
慎重に話すルヴァがとても鬱陶しかった。もっと完結的に話してくれたら良いの
にと思う・・・だが、完結的には話してはいけない事なだろう・・・・。ジュリアスの身に
何があったのかと言う経過を話さなければ・・・
「聖地に上がる前の事なので、私も他人つまりカティスに聞いたのですが・・・。ジュ
リアスの母親はジュリアスを身籠もった時からお腹に居るジュリアスが守護聖と
なるべき事を知らされていたようなのです・・・」
「・・・・っ!と言うことはジュリアス様はまだ母親の胎内に居る時から守護聖として
聖地に召還されることが決まっていたと言うのか?」
余りの驚くべき事に空を厳しく見上げるルヴァの方を見る。
「そうです・・・・。異例中の異例ではありますが、ジュリアスは母親の胎内に居る時
から聖地に召還される事が決まっていました・・・。そして、産まれたら直ぐにで
も聖地に呼び守護聖になるべき教育を聖地で徹底的に学ばせて行く予定でした。」
「そんなっ、そんな馬鹿な」
産まれて間もない赤ん坊を物心も付かない内に母親の乳も飲ませずに聖地に連れて
こようとしたのか!連れて行こう?いや違うっ!これは連れ去ると言った方が正しい
「ですが、これは余りにも人道に外れる行いとしてジュリアスが10歳になるまでに
待つことにしたのです。貴方も知っての通り聖地と下界での時差はかなりのもの
があります・・・だから、余り急がずとも良しとしたのでしょう」
「ちょっと待て、ルヴァ・・・お前今10歳まで待つと言ったか?確かジュリアス様は
5歳で召還された筈だ。それはさっきもお前が言っただろう?」
腑に落ちない事が多い、10歳で召還されると決まったジュリアス。だが実際には
5歳で召還された。その経緯は果たしてどう言うことなのか・・・・
「えぇ、本当に当初は10歳と決められていたのです。ですが、それを早めざるを得
なかった・・・・・・。それにはそれなりの理由が伴うのです」
「どう言うことなんだ?どんな理由があるにしろ、10歳で召還するって言う話しも
あの頃の聖地じゃとんでもなく前例が無いはずだ。なのにそれを早めて5歳だな
んてっ・・・」
オスカーは詰め寄り自分に背を向け窓の外の空を見るルヴァの肩を掴んで自分の
方を向かせた。
ルヴァの瞳は何時になく厳しいまま・・・だがしかし何処か悲しみさえ抱いている
ような瞳だった。胸に悲しみを抱き・身体に悲しみを抱いていた・・・。何時も見て
いるグレーの瞳は毎日見飽きるほどに見ているはずなのに深い、深いグレーの色を
していた・・・・。
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