ストローク
「ルヴァか・・・。いや少し考え事をな・・・・」            「そうですか〜。思索も良いかも知れませんが、窓は閉めた方が良いですよぉ〜」                相変わらずのほほんとした口調でルヴァは言う。そうだ、ルヴァなら何か知っ             ているかも知れない・・・。ルヴァも在位が長いからジュリアス様の事を何か知って             いるかも知れない。            「ルヴァ、この後少し時間が取れるか?相談したい事があるんだが・・・」              窓を閉めながらオスカーはルヴァに聞いた。これを逃したら、もしルヴァが何             も知らなかったのなら自分には後、残された道は少ない・・・。            「あぁ、この後ですか?別に構いませんよ、私の私邸でと言うことでどうでしょう             ・・・オスカー」            「すまないな。ルヴァ・・・」            「いいえ〜。あっ私はこの本を置いてきてしまうのでオスカーは先に私の館に行っ             てて下さい。」            「あぁ、解った」             ルヴァは(どっこらしょ)と本を抱え直すと少しよたつきながら歩き出した。今            にも転びそうな気配にオスカーはたまらず声を掛ける。            「おーい!ルヴァ手伝わなくて良いのか?」            「あー。もう少しですから大丈夫ですぅ〜」                         どう見ても見ている方は大丈夫ではない気がするのだが、大丈夫ではなくとも本            人が大丈夫と言っているので大丈夫なのであろう・・・・。            「さて、一足先に俺は行くか・・・・。」                      ルヴァの館の執事に案内された部屋は相変わらずの本の山で綺麗に本棚に収まって            いるのはこの邸の執事達の苦労の賜物なのだろう・・・。この部屋は静かで心が落ち着く            ・・・。            「すみませんね。オスカー待たせてしまって・・・」             半刻も経ったころ、カチャリと扉が開いてルヴァが入って来た。            「用は終わったのか?」            「えぇ、あの後本を崩してしまって拾うのに苦労しました・・。あはは、やっぱり貴方に             手伝っていただいた方が良かったみたいです。」             そうだろう・・・。とオスカーは頷いていた。ルヴァはどっこらしょと椅子に座ると執事            に出して貰った日本茶で喉を潤すとチラリとオスカーを見た。            「さて、オスカー相談したい事とは何でしょうか?」            「あぁ、それはだな・・・。言いにくい事なんだがジュリアス様の事なんだ」            「ジュリアスの事?何かあったんですか?」             ルヴァは「ジュリアス」と聞くと、とても真剣な顔になった。            「なぁ、ルヴァ。俺とジュリアス様は恋人同士だと言う事はお前は知っているよな」            「えぇ、勿論です。」            「恋人と言えば、心を許しあいそれなりのスキンシップ・・・あっいやっ、いやらしい意味             ではなくて、その手を握るとかそう言う事をするだろう・・・。それをしようと思ったら             ジュリアス様にいやがられて頬を叩かれた。ジュリアス様も自分の行動に驚いていたよ             うなんだ・・・。多分、御自分でも無意識の内に叩いていたんだと思う・・・。それでだルヴァ。             ジュリアス様とは付き合いが長いお前だから何か知っている事は無いかと思って・・・」             オスカーは一気に話した。この話に少しは驚くかと思ったが意を反してルヴァは深い            溜息をついた。            「まだ、治っていないのですね・・・・。ジュリアスの心は・・・。」            「心だと・・・」            「えぇ、これは前緑の守護聖・カティスから聞いた話で私も納得したのですが、確かにジュ             リアスが貴方にした行動は無意識なのですよ。そして、ジュリアスはその行動に悩んでい             るのです・・・。どうして、自分がそう言う行動に出てしまうのか自分でも解らない・・。              でも、これはジュリアスの記憶の中に封じられた心の傷でもあるのです」            「心の傷?」            「えぇ・・・・」             まずは何から話しましょうかね・・・とルヴァは窓側に移動して外の景色を見ていた。とても            厳しい表情で・・・。ルヴァがその様な顔をするなんて始めて知ったオスカーはルヴァの口から            何が紡がれるのかと不安な面持ちで待っていた。     
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