ストローク
コツ・・・コツ・・・コツ・・・・
聖殿の廊下を寂寥の思いで歩いていた。
(あそこまで嫌われているとは思わなかったな・・・・)
心が通じているものだと思っていた・・・。やっと、本当に死ぬ思いで愛を告げたのだ。
それに応えてくれたのだ・・・。絶対無理だと思っていたのに・・・。何がいけなかったのだ
ろう・・・。俺が悪かったのか?俺に合わせていてくれただけなのか・・・。そんな思いが過
ぎる。
(・・・ジュリアス様はあの時、「私もだ・・。そなたが傍らにいない日々など考えられ
ぬ」と仰ってくれた。それを信じよう。ジュリアス様の仰ってくれた事を信じよう
あの時心の底からジュリアス様はあの言葉を仰っていた・・。それを信じよう・・・。)
オスカーは自分にそう言い聞かせているがそう言い聞かせる度、矛盾が生じてくる
自分を愛していると言ったあの方はどうしてあの時その様に震えていたのだろう・・。
考えに耽りながらオスカーは永遠に続く廊下を一歩一歩、歩いていた。外には風が吹
き荒れていて、木が風に吹かれ梢梢と鳴っていた・・・。強く吹き木にしがみついている
木の葉が無理矢理枝から引き離されて、寂しい大空に消えて行く・・・。その様子をオス
カーは廊下の窓を開けテラスから静かに見ていた。
まるで、自分の様だと・・・。ジュリアス様に嫌われないようにと必死になって側にい
る。ジュリアス様も同じ気持ちで俺を受け止めてくれている筈・・・。だがしかし、何か
が二人の間を引き裂こうとしている・・・。何か大きな強い風が二人の間に吹きはじめて
いる・・・・。
(・・・どんな、風だろうと俺は負けるわけには行かない・・・。心から血を流す思いで
手に入れた初めての純愛だからな。離される訳にはいかない)
そうオスカーは自分に誓った。外の風は一層に強さを増しオスカーのマントを激し
く嬲っていく・・・。空には風に攫われた木の葉が舞っている。
(負けるわけには行かない・・・。俺は)
・・・暫く、そうやって悲しく攫われて行く木の葉を見ていた時背後から誰かの声が
した。
「どうしたのですか?オスカー、こんなところで・・・・。」
それは、吹きはじめている風の正体を知っている者だった・・・。
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