蒼 穹 7
    「・・・クラヴィス様?」       悲しみが心深くまで及んでいるのだろう口を開かないまま少しも動こうとは      しないクラヴィスをアンジェリークはただ静かに見つめていた・・。そんな眼差      しに気が付いたのか、クラヴィスの瞳が悲しげに細められた・・・。     「すまない・・・。色々と情けなくてな・・・私は結局ジュリアスの本当の悲しみには      気付かなかった・・。それに気付かず・・・私は、より深く傷つけてしまったんだと      思ってな・・・」     「では、ジュリアス様の所には行かれないのですか?」       アンジェリークは不安げにクラヴィスに訪ねた・・。 「そんな事は無い。私はジュリアスの所に行く。ジュリアスを迎えに行く・・・。      そしてもう一度・・・。」       −−−−−−この腕に抱きしめる・・。     「・・・そうですか・・、ではジュリアス様のいらっしゃる所を・・・」       アンジェリークがジュリアスの居場所を告げようとした時、クラヴィスがそ      れを遮った。     「待ってくれ、アンジェリーク。お前の厚意は有り難いが私は、私の力でジュリ      アスを見つける・・」     「クラヴィス様・・・」     「そうでないと意味がないのだ・・。私の力で捜し出す。そう約束したのだ・・・ジュ      リアスと・・・」       そう言うと今まで悲しげに伏せられていた瞳は消え失せ、決意を決めた強い      眼差しをアンジェリークに向けていた・・。どんなことがあろうと一早くジュリ      アスと再会してもらおうと思っていたアンジェリークはその思いを諦めた・・。     (私の力で少しでも早くお二人を・・・と思っていましたけれどそれは余計な事だ      ったみたい・・。そうよね・・。愛している人を迎えに行くのに人に言われた場所      に行くなんて意味がないものね・・。自分の力で向かえに行かなくちゃ・・・)     「分かりました。クラヴィス様、余計な事を言ってすみませんでした・・。クラヴ      ィス様の御力でジュリアス様を御迎えに言って下さい。」       優しくクラヴィスの手を握りアンジェリークは言った・・。     「すまないアンジェリーク。お前には世話を掛けたな・・。」     「いいえ、そんな事はありません。それにジュリアス様の為ですもの当たり前      です」       アンジェリークは悪戯っぽく微笑んだ・・。               「それでは、私は失礼する。では、アンジェリーク・・」       そう言い残して、謁見の間を後にしようとするクラヴィスをアンジェリー      クは呼び止めた・・     「クラヴィス様っっ!」     「・・・!?なんだ?」     「この広い宇宙で星を掴むような事ですけれど、ジュリアス様を見つけられた      時には私からプレゼントを・・・」     「なんだ?それは・・」     「それはその時に・・・」       花がまるで綻ぶようにアンジェリークは微笑むと最後に一言だけ言った・・・。     「・・・ジュリアス様を幸せにしてあげて下さい」     「もちろんだ・・」               クラヴィスはそう言い残すと夜を写したその漆黒の髪をなびかせて謁見の間      を後にした・・。外に出ると空はすっかり暗くなっており空を見上げるとそこには      あの時に見た星彩が瞬いていた・・。誓いを立てるように夜空を見据える・・・。          
お前を必ず捜し出す・・・
                  
もう一度この両腕に抱く・・。
         
記憶が無いくらい何だ・・また最初からやり直せば良い事だ・・・。
         
私は・・ジュリアス・・お前でなければ駄目なのだ・・・。
         
お前でなければ・・
         
ココに居ることが、生きることが辛くなった時も・・・
         
私の側にはお前が居てくれた・・。私をずっと支えてくれていた・・。
         
お前を今度は私が支えたい・・・。
         
お前の側に・・・。
         
最後の時が私を迎えに来るその時も出きるのならばお前と共に・・。
         
その時も私の隣にはお前にいて欲しい・・・。
         
必ずお前を捜しに行くから・・・だから、もう少しだけ・・・。
         
あと少しだけ・・・
                 ジュリアスと約束した空に・・ジュリアスにどうか届く様にとクラヴィスは夜      空に語りかける・・。その言葉は相手に届いたのか・・その時優しい風が吹き木の      葉と共にクラヴィスの紡いだ言葉は吸い込まれるように夜空に消えていった・・・。                          
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