スモルニイ学園 幼稚部4
「おーい!そろそろ、昼飯だぞ−−−!!」
教室内に響き渡る大きな声でウォルターが叫んだ。
「うるせーなぁ!そんなさけばなくてもきこえるぜ!」
ちびっ子で水色のスモック姿のゼフェルが言う・・・。
「あぁ、ごめん!ごめん!何だか昼飯だと嬉しくなっちゃうんだよな。俺」
「そうかよっ!ほら、みんなひるめしくおーぜー!」
何だか脳天気なウォルターはほっておいて、ゼフェルは仲の良いマルセル・ランディ達とグルー
プを作って机を引き寄せていた。クラスの中の生徒達もそれに動かされるように中の良い友だちと
グループを作って机を寄せていた。ルヴァはオリヴィエとリュミエールはクラヴィスと。何時もは
4人で食べているのだがオスカーは只今「おたふく風邪」で1週間のお休み中・・・・。そしてジュ
リアスはリュミエールとクラヴィスと昨日喧嘩してしまったのだ・・・。それで、ジュリアスはお
弁当箱を持ったまま立ちすくんでいた・・・・。周りではヒソヒソと喋り声が聞こえてくる・・・・。
『ねージュリアス。1人ぼっちだよ・・・なかまにいれてあげようよ』
『やだね!ジュリアスうるせーんだもんよ!』
『なんてゆーこというんだよ!ゼフェル!かわいそうじゃないか!』
『あ〜、オリヴィエ、ジュリアスが1人きりですよぉ。いれてあげましょうか・・・・』
『え〜・・・。やぁ〜よ!(だってジュリアスといっしょにいるとドキドキしちゃうもの)』
『リュミエール・・・・ジュリアスが・・・・・』
『いいですよべつに、ほっておきましょうよ』
ヒソヒソと喋っているつもりが、段々と大きくなり皆の喋っていることがジュリアスの耳にも入っ
てきた。段々と悲しくなってそれでウルウルと視界がぼやけて涙がこぼれ落ちた・・・・。その姿
にクラス中の皆がシーンと静まりかえる・・・。
『『『『『『『泣いちゃったよ・・・・・ジュリアス・・・・』』』』』』』
誰もが心の中でそう思っていた・・・。そこへガラッと教室の扉が開き保育士の1人・カインが
入って来た。
「ジュリアス、遅くなってすみませんね・・・。さぁ、一緒にお昼ご飯食べましょうね。・・・・
外に出ましょうか」
カインはジュリアスの頭を優しく撫でながらハンカチで涙を拭いてやると手を引いて外に出ていっ
てしまった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
芝生のあるグラウンドに出るとカインはお弁当箱を広げ食べ始める・・・。隣では同じくお弁当
箱を広げたジュリアスがポソポソとお昼を食べていた・・・。
「元気がありませんね・・・・ジュリアス。」
「・・・・・・」
「どうしたんですか?」
「・・・・・・うっ・・・・ひっく。みっみんなわたしのこときらいだから・・・・」
「誰がそんな事言ったんですか?」
ジュリアスを膝の上に抱き上げて座らせるとカインはジュリアスの瞳を見つめて聞いた。
「クラスのみんながいってた・・。っわ、わたしはうるさいからいやだって・・・・ひっく・・」
「・・・うるさいですって?」
なんて言う残酷なことを言う子がいるのだろう・・・。ジュリアスは決して五月蠅いことなど言っ
ていない。ただ、授業中だから静かにとか掃除をきちんとしなきゃだめとかいう事を言っているだ
けなのに・・・・。それが口うるさいヤツだと皆から嫌われているのかと重うとカインは心が痛く
なった・・・。
「ジュリアス・・・私はジュリアスのことを嫌ってなどいませんよ・・・大好きです。」
「ほっ、ほんと?」
「えぇ・・・」
ジュリアスは驚いて顔を上げると優しい顔をしているカインの瞳と目があった。カインは触りご
ごちの良いジュリアスの金糸の髪を梳くと抱きしめた・・・。
「だから、そんなに泣かないで下さい・・・。」
「・・・・うん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方教室ではクラヴィスが何やらモゾモゾと落ち着かない様子。
「どうしたのですか?クラヴィス・・・」
「・・・・べつに・・・・リュミエール」
「なんですか?」
「ちょっとおトイレいってくる・・・・」
そう言ってクラヴィスは教室を出るとトイレとは全く別の方向に走りだした。方の辺りで綺麗に切
りそろえられた真っ直ぐな髪が揺れる・・。
(どうしよう・・・。ジュリアスなかせちゃった。ほんとうはきのうのケンカはボクがわるかったの
に・・・。ごめんねってあさすぐにいおうとおもってたのに、なかなかいえなくて・・・・ジュリア
スきっと1人でないてる・・・・)
クラヴィスは外のグラウンドの所に急いで走っていたら目の前に微笑み合う、カインとジュリアス
を見つけた・・。ジュリアスはカインの膝の上で嬉しそうに笑っている。それを見たクラヴィスは何
やらムッとした・・・。
(ジュリアスはボクのまえいがいではわらわないのに・・・どうしてカインせんせいのまえでわらう
の!ぼくのジュリアスなのに!もう、ゆるせない!カインせんせい!)
「ジュリアス−−−−−ッッ!!」
グラウンドに響き渡る大きな声でクラヴィスは叫び2人に走り寄った・・・。滅多に聞かないクラ
ヴィスの大きな声にジュリアスは驚いたように瞳をいっぱいに開かせた・・・。
「・・・クラヴィス、どうしたの?」
「ジュリアス、きのうはごめんね。ぼくがわるかったんだ・・・」
ここは早くジュリアスに謝ってしまおうと思った。だって、ジュリアスに触るカイン先生がどうし
ても許せなくて早くカイン先生と離れて欲しかったから・・・。
「だから、ジュリアス・・・。一緒にご飯たべよ」
「でっでも・・・せんせいが・・・」
この言葉にクラヴィスはショックを受けた。何時も(ボクと一緒に〜しよう)と言えばジュリアス
は喜んで頷いてくれたから、それなのに今は・・・・。ボクより先生が良いの?ジュリアス!そんな
のダメ!ここは・・・
「ジュリアス・・・・もう、ボクのことキライなの?」
アメジストの瞳を潤ませてジュリアスを上目遣いで見る。ボクの涙に弱いことは十分知っているか
ら・・・。
「いっいや、そんなことはないけど・・・」
「じゃあ、いっしょにたべようよ!」
クラヴィスはジュリアスの手を引きカインの膝から退かせると、グイッと引っ張って立たせる。
「ちょっ、ちょっとまってクラヴィス、おべんとうが・・・・」
ジュリアスがクラヴィスに引きずられる中必死に手を伸ばすと急いでお弁当箱を纏めてくれたカ
インがポスッとジュリアスの手の中にお弁当箱を落とした・・・。
「ありがとう、せんせい!」
ジュリアスはニッコリと微笑むクラヴィスはそれがまた気に入らない・・・。グイグイ、ジュリ
アスを引っ張って歩き出す。カインは溜息と共に2人を見送っていたがその内、クラヴィスがクル
リと振り向いた。カインは何かと思ってクラヴィスを見ると次の瞬間・・・・
「あっかんべ〜」
と舌を出して走り去ってしまった・・・。そのクラヴィスの行動を呆然としながら見送ったカイ
ン先生なのであった・・・。
続く