とくん・・・・・・とくん・・・・・・・とくん


              優しい心臓の鼓動が聞こえてくる


              懐かしい・・・


              そう


              昔、父ちゃんに抱っこされた時みたいな


              とっても安心する音








             【 −  モノ −  八 】






               すぅ・・・・・・すぅ・・・・・・・


              


               寝息をたてて腕の中で眠る子犬は時折嬉しそうに寝ながら笑みを浮かべる
              どんな夢を見ているのだろう・・・・気にはなるが人の頭の中は覗けない・・・


               自分の部屋に鉄を連れてきた土方は眠り続ける鉄を布団に寝かそうと思っ
              たのだが手の中の柔らかな感触と暖かい子供の体温に手放せなくなってしま
              い鉄を抱いたまま胡座をかき足の間に鉄の腰を落ち着けさせてそのまま鉄が
              起きるのを待っていた・・・・


               まるで心臓の音を確かめるように胸に頬を擦り寄せてくる・・・・


               
               それを見ているだけで胸が【じわぁ】と熱くなる・・・




              「その感情・・・・・鉄之助君が自分の【小姓】だから・・・・。それだけですか?」


              
               総司の言葉がよみがえる・・・・。いい加減自分の気持ちを認めなければ、こ
              こで認めなければ無くすかも知れない・・・
               鉄の頬にかかる髪を払い柔らかい白い頬を撫でながら・・・・


              「俺も人に言われなきゃぁ、自分の気持ちに気が付かないなんざ焼きが回っ
               たもんだ・・・・・」

               
               小さな掌をチョイチョイと人差し指で触ればきゅぅっと握りしめて手を握
              ろうとしたところで自分の罪に気が付く小さな手の甲に巻かれた白く細く切
              られたサラシ・・・・・。それは自分が投げた煙管で負わせた傷だ。


               あの時は・・・・



               あの時は無性に腹が立ったのだ。何時も共にいる時間ならば自分の方が勝っ
              ているのにそれを山南が市村を抱き上げ仲が睦まじそうに話しているのが気に
              くわなかった。でも、わざと傷つけようと故意にやったのではないとそれだけ
              は断言出来る。


              「・・・・・・すまなかった・・・・・」


               傷を負った手の甲を撫でると鉄の長い睫毛がふるふると震えて鳶色の瞳が
              土方をとらえたかと思うと次の瞬間に信じられぬ者を見たかの様に大きく見
              開かれてそのまま身を固くして震える唇でやっとのこと発せられた言葉は








              「お・・・・・・・・・おきたさん・・・・・・・・」








               瞳は怯えたように辺りを見回す・・・・そう自分ではないその者を探すように
              その姿に今迄の優しい感情がぷつりと切れた。



               ダンッッ!!



               折れそうで小さな身体を両手を畳に押さえつけて上から覆い被さる。


               「お前はっ・・・何故総司の名前を呼ぶんだっ!」


               俺の名前じゃなしに・・・・・。



               土方の怒りと両手を拘束された鉄は瞳に涙を溜めて震えていた。嗜虐心に
              灯が点る・・・・。寝間着姿の太股の辺りまでしかない着物の裾から鉄の柔らか
              そうな足が覗き見えて鉄の太股と太股の間に自分の膝を割り込んで足を広げ
              させると内股の太陽の光でさえ反射するような瑞々しい肌が見えてコクリと
              喉を鳴らした。


               「・・・・・・・・・・・お前が総司の名前を呼ぶのは許さない」 




               そう俺以外の名前を呼ぶことは許さない・・・・。





               細い手首を頭上で一纏めにして片手は柔らかい太股を撫でさするとまるで
              手に吸い付かんばかりの瑞々しさで厭らしいクソオヤジのように何度も何度
              も撫で回した。市村はふるふると震えながら涙をポロポロと流す


              
               「もっと・・・・・・・もっとその顔を見せろよ・・・・・・・」



               土方は鉄の身体に溺れていった・・・・・・。