真っ暗で狭いココは

            
             俺にとって一番安心できる所だったのに・・・


             今は一番・・・・・・・・・










            【 − モノ −  五 】




             ダンダンダンッ!


             「辰兄!辰兄ぃーっ!ここからだしてよぉーっっ」


             鉄は今押入に閉じこめられていた。辰が鉄を引きずり押入に放り投げて閉じこ
            めたのだった。襖を開けようと引いても開かなくて一生懸命引いても開かなくて
            爪を立てて・・・・それでも開かなくていつの間にか指先は血が滲み出ていた。


             「たつにぃーっっ!!」


             声が掠れるほど叫んだ。手が赤くなるまで叩いた。それなのにここから出れな
            い。


             早く、早くここから出て言わなきゃならないのに・・・・っ


             「・・・・・・ふぇっ・・・・・ヒック・・・・・・」


             先程からどれくらい泣いたか分からない・・・だけども涙腺は壊れたかのように涙
            が止まる事は無かった・・・・


             「・・・・・・・ふくちょぅ・・・・・」


             絶対に届く筈がないと思っていても相手を想う言葉は零れてしまう・・・・








             「ふっ・・・・・・・・ヒック・・・・・・クッ」


             何時しか襖を叩くことを諦めた鉄は押入の隅っこに座り膝を抱えて座っていた。
            小さな膝小僧が頬を伝う涙でヒンヤリと冷たくなっている。余りに泣きすぎて頭
            がぼぅっとする・・・。




             瞼が重い・・・・

             
             寝てしまいそうだ・・・・・・



             でも寝てしまったら、次に起きた時にはこの場所に居ないような気がする。屯
            所でもなく、土方の側でもない・・・・何処か違う遠い場所に・・・・



             そんなのは絶対にヤダ・・・・


             でも・・・・自分の意志とは関係なく数時間涙を流し続けた瞳は疲れ果て・・・




             眠りに落ちた・・・・






             細い針の様な光が押入の中を照らし鉄の身体を押入の中から引きずり出し抱き
            かかえるとその場を後にする・・・・・


             





             腕の中の鉄は、スゥスゥと寝息を立てるだけでその事にまだ気が付かない・・・