麝香連理草
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             一体どこでどう間違えてしまったのだろう・・・。              一体どこで道を違えてしまったのだろう・・・。              私達は・・・              いや・・・私がどこで間違えてしまったのだろう・・・。                            謁見の間に続く長い・・・長い廊下を歩きながらクラヴィスは考えていた。廊下か             ら見える景色は何時もとは幾分も変わりはない・・・。廊下をそっと見守るように様々             な色のスイートピーが延々と植えられている・・・。                    もっとも大切にしていたジュリアスが私の魂の欠片を持つ、もっとも純真で清             浄なジュリアス。一体、お前は何処に行ってしまったのだ。ふっ私としたことが             ・・・ジュリアスがいなくなったなど私を拐かすのも大概にしろ・・・私は騙されぬぞ             ジュリアスがいなくなったなど・・・皆が嘘を吐いているのだ。              謁見の間の前を通ると王立派遣軍の物が謁見の間の扉を守るようにただじっと             立っていた。             「暫く、ここでお待ち下さい・・・」              控え室に守護聖を通すと使いの者は深く頭を垂れ部屋を後にした。             「何だろうね・・・こんなところで待たされるなんて・・・」              何時もは決してこんな控えの間などに通さずに直に謁見の間に行っている守護             聖にとっては居心地が悪くてしょうがない・・・。             「どう言うことなのでしょうか、クラヴィス様・・・」             「・・・・・」             その言葉を言ってからリュミエールは自分が失言したと気が付いた。             「申し訳ありません・・・」             「・・・・・」             リュミエールの謝罪もクラヴィスは聴いていないようであった。そう、誰の言葉            も今のクラヴィスには聞こえていないようだった・・・。             ・・・ジュリアス・・・ジュリアス・・・聖地の中にいるのであろう?             幾ら自分の対と言われるジュリアスのサクリアを聖地中探してみたが見つからな            い・・・。どこにも、どこにもジュリアスのサクリアが、気配が、存在が・・・感じられな            い。             ・・・ジュリアス?・・・ジュリアス・・・私はお前に言いたいことがあるのだ。サクリア            の気配を消さずともいいではないか、早く私にお前を感じさせてくれ・・・ジュリアス。             クラヴィスは1人窓の外を見てジュリアスに心の中で話しかける。こう語り続け            ていればジュリアスがきっと返してくれるのではないかと、淡い期待を持って・・。            ・・・淡い?・・・そう淡い期待。クラヴィスも薄々感づいてはいるのかも知れない、ジュ            リアスの事をだがそれを認めたくはない・・・認めてしまったら自分が壊れてしまいそ            うな気がしていた・・だが、クラヴィスは信じていた。・・・信じていたのだ赤子の様に            だたひたすらに・・・             「いやぁぁぁぁぁーーーーーーーーっっ!!」             謁見の間の方から女性の声がした。謁見の間は防音壁であるのにも係わらず、女            性の悲慟な声が響き渡った・・・。その声を聴いてクラヴィスが走り出す他の守護聖も            また走り出して控えの間を後にした。謁見の間に入ろうと守護聖が扉の前に集まるが            それを頑なに派遣軍の者が拒む、業を煮やしたクラヴィスは派遣軍の者にサクリア            を放つ・・・             「ク、・・・クラヴィスさま・・・どうか・・・お止め下さい。みそぎが・・・ジュリアス様              の禊が済んでおりません・・・後生ですから、クラヴィス様・・・誇り高かったあの              御方の姿を汚さないで下さい・・・今迄通りに不浄で汚れを知らない清光な方のま              まで・・・」             そう言って派遣軍の者はクラヴィスの足に縋り付いてきた・・・それはジュリアスを            慕う派遣軍の望みだった。             美しいままのジュリアス様のお姿でお記憶にと留めて置いて下さい・・・             そう派遣軍の者は望んでいたのだ・・。だが、その願いはクラヴィスには届かず縋り            付く手を踏み付けると謁見の間の扉を勢い良くクラヴィスは開いた・・・   
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