麝香連理草 - scar Y- 「・・・・ジュ・・リ・・・アス・・・さま・・・・」 オスカーは半覚醒の状態でジュリアスの名前を呼んだ・・・ 「ちょっと、こんな時でも「ジュリアス様」なのぉ〜」 オリヴィエのやっかみでオスカーの意識が完全に戻った。勢い良く飛び起きる 「オスカー様、急に起きたら・・・」 「うるさいっ!黙っていろっ!!」 オスカーの身体を気遣っていったのだが逆に怒られてしまったマルセルは(ヒッ) と身体を強張らせる・・・。 「おいっ!おっさん、そんな言い方ねーんじゃねーのかっ!皆心配して・・・」 「黙れっ!!」 何時もとは違うオスカーの雰囲気にゼフェルでさえも怯える・・・。 「ルヴァはどこにいる・・・」 地を這うような声でオスカーが言うと皆が扉の方に視線を移す、扉にはエルンスト とルヴァがいた。さっき自分を止めた者が、ジュリアスを逝かせてしまった者がいた・・・。 「ルヴァッ!!」 オスカーは手近にあった、グラスをルヴァ目掛けて投げる・・・。ルヴァの顔の横で グラスが粉々に砕け散る・・・。 「おや・・・随分とお目覚めが早かった様ですね。流石、日頃の鍛錬ですねあの薬物は 1日効くはずなんですがね・・・」 ルヴァは何の感情もなくそう言った。 「・・・ルヴァ、アンタ今なんて言ったの・・・まさか・・・」 「えぇ、そのまさかですよ。オスカーが倒れたのは私がオスカーに薬物を投与した からです・・・」 「何でそんなことをオスカーにするのさ!」 自分は何も悪いことはしていないとばかりにルヴァは平然と言う・・ 「投与する必要があったからですよ、オスカーに邪魔される訳にはいきませんでし たので」 「邪魔?邪魔ってなんだ!ルヴァッ!!俺はあの方を助けようと思っていただけじゃ ないか!」 オスカーが叫ぶ・・・ 「それが邪魔だったのですよ」 「助けようとしたことが邪魔だって言いたいのかっ!!」 「えぇ・・・それにあの人に言いつけられていたことですから。万が一、行き先を塞ぐ 者がいれば対処は私に任すと言われていましたからね、私はするべき事をしたまで です・・・」 「するべき事?あれがするべき事かっ!あの方を逝かせてしまったのがするべき事な のか?」 「そうです。」 ルヴァはオスカーの横たわっているベッドに静かに近づいていく・・・ 「まるで人柱になることがあの方のするべき事なのか!」 「そうです・・・」 「自分を犠牲にすることが、自分の命を投げうることがするべき事なのかっ!」 「そうです、それが何か?」 「そんなこと・・・」 パシッとオスカーの頬をルヴァが叩く・・・ 「甘えた事を言うんじゃありませんよ・・オスカー。私達、守護聖の命は女王陛下に 預けたモノ・・・民のモノに使う物です・・・例え自分の命であっても自分の為には使 わないモノなのです・・・。」 その場にいた守護聖が息の音も聞こえぬ程静まりかえっていた・・・。ルヴァの暴挙・ ルヴァの言動・・・ルヴァの涙に守護聖は動けずにいた。 ルヴァの涙・・・そうルヴァもまたジュリアスを逝かせてしまった事を悔いていた。 〔もっと他の方法はなかったのか〕〔自分に出来ることがあったのではないか〕と 何度も何度も自分に問いただしていた・・・。 私は知恵を与える地の守護聖として恥ずかしい・・この様な時に使わない知恵など必 要ないではないですか・・・。私の無能さがジュリアスを逝かせてしまった事に違いはあ りません・・・。 「すみません・・・オスカー。貴方を責められた立場じゃないですね・・・私は、私の無能 さが呪わしいです・・・。」 顔にを手で覆い隠すとルヴァはその場所に崩れた・・・。その姿を見てどれほどルヴァ が苦しんでいたかを知った気がした・・・。隠し事が苦手だったルヴァはどれほど自分の 心を凍らしてそれを隠していたか分かった気がした・・・自分に授かった力をどれほど呪 わしいと悔やんでいるかを知った気がした・・・。 オスカーはルヴァの手を握りしめた・・・ 「いや・・・何も知らなかった俺が悪いんだ・・・。」 「ねぇ・・・2人ともなんの事を話しているの?助けるとか逝かせたとか人柱って何よ!」 オリヴィエは語気も強めに2人に問いただす・・・。何も知らないのだ、ここにいる6 人の守護聖は・・・ 「そうですね・・・もう話しても良いでしょう。皆さん落ち着いて聞いて下さい・・・」 そしてルヴァはポツリポツリと話し始める・・・。先ずは、ある惑星の始まりからそれに 行くまでの異変そして狂気の中に起こった戦争・・・終わりのない戦争・・自省を促すサクリ アの搾取・・そして干魃・飢餓・略奪・殺人・・・また酷くなった戦争・・・。人の心に入り きれなかった悪しき感情が大地に溶け込みやがて惑星をも覆い尽くした。そこでジュリ アスは己が惑星を内から閉めると言い出す・・・止められぬ断固たる決意。 そして・・・ジュリアスは・・・ 次元回路へと消えた・・・・。BACK NEXT