麝香連理草
- scar V-
ジュリアスは目的の物を掘り起こすと手を洗おうと噴水にやって来た冷たい水が心
地いい・・。その時後ろからきなり声を掛けられて驚く・・・。
「はぁ〜い、ジュリアスこんな夜更けに会うなんてどうしたの?」
それは星のような宝石を煌めかせるオリヴィエだった・・・。
「いや、別に思索の為に歩いていただけだ・・・。」
「そう・・・」
オリヴィエはそう言うと噴水の縁に腰を下ろした。そして話し出す・・・昼間の事を
「2人の間に何があったかなんて知らないアタシが口出す事じゃないからさ、何も言
うつもりは無かったんだけど・・・。折角、今日ここで会ったから言わせてもらうよ・・。」
「・・・・・。」
「ジュリアス、人の口から出る言葉が全てとは限らないよ・・・。ついうっかりって事が
アンタにもあるでしょ?多分、今頃凄く後悔してるよ・・・・クラヴィス。」
そうか・・・そうだろうか?オリヴィエはクラヴィスの館に誰が今居るのかを知らな
い・・・。
「そうだろうか?」
「そうだよ、絶対クラヴィスがジュリアスの事を嫌うなんて事は絶対ナイ!」
オリヴィエは真剣な眼差しでジュリアスの瞳を捕らえた。オリヴィエの心に打たれ
たのだろう・・・。ぽつりとジュリアスが自分の気持ちを話し始めた。
「最初は姿を見れるだけでよかった・・喋れるだけでよかった・・・それなのに・・・クラ
ヴィスの瞳が私以外に行くのが許せなくて・・・私だけを見ていて欲しくて・・・嫉妬心
でドロドロしてきて。好きなだけなのに・・・どんどん自分が汚れていくような気が
してこのままでは、クラヴィスも汚してしまいそうな気がして・・・。」
「ジュリアス・・・それが恋ってものだよ。綺麗なだけじゃ片付けられないんだ、恋愛っ
てさ。」
「・・・そうなか?」
「そうだよ」
「誰も、愛についてなど教えてくれなかった・・・。宇宙の大切さ・愛しさ・守護聖であ
るべき姿は教えてくれたけど・・・。恋愛についてなど誰も教えてくれなかった・・・。」
「・・・・ジュリアス」
「守護聖であるべき姿は教えてくれたが、人間であるべき姿は教えてはくれなかった・・・」
「いいじゃない、これからクラヴィスに教えてもらえば・・・2人で勉強していけば・・・
ねぇ・・・ジュリアス。」
「あぁ・・・・そうだな」
ジュリアスはそう言って微笑んだ・・・。何故かしら紺碧の瞳がいつもより違うみたい
・・・。何時もよりすんでまるで綺麗なクリスタルのまぁるい珠みたい・・・。澄み切って
何も写していないみたいな・・・その時、背筋にゾクッと冷たいものが走った。
・・・ジュリアス、アンタ何を考えているの?何処に行こうとしてるの?・・・ジュリア
ス、アンタが何を考えているのか分かんないよ・・・どうしたの?ジュリアス・・・・。何が
あったの?
「そろそろ、帰った方が良いだろう明日に差し支えるからな・・・」
「えっ!?あぁ、そうだね。執務に差し支えがあるってね!」
立ち上がるとオリヴィエはジュリアスの手を引こうとしたその時、カサッっとジュ
リアスの手の中のものが音を立てた・・・。
「何を持ってるの?ジュリアス」
「いや、別に何でもない」
そう言ってジュリアスは懐の中に何かを入れた・・・。オリヴィエには刹那の瞬間に見
たのは古ぼけた白い封筒を見た・・・。オリヴィエはそれが何かを知らない。
「・・そう」
少し気になるけどジュリアスが何でもないって言うなら何でもないんでしょう。で
も気になっちゃうな・・・。何だろうあの封筒・・・中には何が入っているのかしら?聞き
たいな・・・でも、今日は遅いし。そうだ、明日!明日聞こう・・・ジュリアスに昨日の夜
持っていた封筒は何って・・・明日聞こう。
ジュリアスとオリヴィエは暫く2人で歩いていたがその内に自分の館に帰るための
分かれ道となった。オリヴィエは左・・・ジュリアスは右・・・。それが2人の分かれ道、
それぞれの帰る道・・・・。
「じゃぁね!ジュリアスお休みなさぁ〜い」
「あぁ、お休み・・・」
オリヴィエはぶんぶんと手を力一杯振って帰っていった。その姿が見えなくなるま
でジュリアスは見送っていた。闇に消えていったオリヴィエを何時までも見送ってい
た・・・。
館に帰ったオリヴィエはシャワーを浴びてベッドに潜り込んだ・・・。今日も良い夢が
見れるようにと・・・。次第に瞼が重くなり意識が夢に囚われていく・・・。
「・・・あしたになったら・・・ジュリアスに・・・きかなくちゃ・・・」
そう言ったきり、オリヴィエは眠りについた・・・。そう明日・・・明日になったら・・・。
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