少しだけ悲しいこと
「お〜い。リュミエール待てよ・・・・」
「・・・・・・」
オスカーは自分よりも離れた場所を歩いているリュミエールを呼ぶ。
足下は砂場で思ったよりも足を取られて、久し振りに海に来たオスカー
は足を取られて少々、リュミエールより遅れぎみ・・・・。それなのにリュミ
エールはオスカーに合わせることなく先へ先へと足を進めている。(や
はり怒っているのか?)とオスカーは溜息をついた・・・・。
「リュミエール、やっぱり怒っているんだろ?お前」
「・・・・何がですか?」
ぴたっとリュミエールは足を止めるとオスカーの方を振り返り驚いた
顔をした・・・・。
「オスカー、何故その様に離れたところに居るのですか?」
「・・・?。俺はこの砂場に慣れていないから、何度も待ってくれとお前
に言ってたじゃないか・・・・」
それを聞いたリュミエールは顔を青ざめるとオスカーの元へ走り寄っ
てきた。
「すっすみません。オスカー私は・・・・」
リュミエールは心底すまなそうにアクアマリンの瞳を潤ませて謝って
くる。その姿にオスカーは一つの疑問がしょうじた。
「お前、怒ってたんじゃないのか?」
「何故ですか?何故私が怒らなければならないのですか?」
(?)話がかみ合っていないか?もしかして・・・・・
「休暇を利用して無理矢理。こんなところに連れてきたからお前は怒って
いるのだと俺は思ったんだが・・・・」
するとリュミエールは驚いて瞳をいっぱいに開かせて言った。
「そんなことは決してありません!」
「じゃぁ、何で俺の言葉をお前は聞いてくれなかったんだ?」
「それは・・・・」
「それは、なんだ?」
リュミエールはカァァァッと頬を桜色に染めると俯いてしまった。
「どうした?リュミエール・・・・」
「訳を聞いても呆れないで下さいね・・・・」
「あぁ・・・・」
オスカーは腕を組んで俯くリュミエールを愛おしく見つめリュミエールが
話し始めるのを待っていた。
「私は本当に怒ってなどいないのです。オスカー・・・ここはわかって頂けます
か?」
「・・・・・」
まだ、少しだけ疑っているオスカーは返答をためらった。
「私は、この様に海を見るのは本当に久し振りで・・・・その・・・・」
「・・・・・」
「・・・・あの。・・・嬉しくて見入ってしまったのです。」
「そうか・・・・」
「すみません。オスカー、私は貴方のことを忘れていたわけでは無いのですが
・・・・。嬉しすぎて・・・・懐かしくて・・・」
そこまで言うとリュミエールは遂に泣き出してしまった。折角自分のことを
思ってこの海の見える惑星に二人で訪れたのに自分は自分の思い出にだけ耽っ
てしまって・・・・。
「・・・・すみません。オスカー、私は・・・・」
「リュミエール、そんなに気にしないでくれ。俺はお前に喜んで貰いたいため
にここに来たんだからな。人には大切な思い出があるものだそれをお前は思い
出していたんだろ?別に良いじゃないか・・・・ただ・・・・」
「・・・・?」
「ただ、その思い出に俺がいないのが少しだけ悲しいけどな」
オスカーは演技の掛かった口調で言うと最後にウィンクをした。
「あの・・・」
リュミエールはそんなオスカーに戸惑ってしまう。
「今度、思い出す時はその中に俺も入れてくれよ!それで、許してやる。分かっ
たか?リュミエール」
オスカーはこれ以上リュミエールが気にしない様に少しだけ尊大にそして戯け
て言った。その心が痛いほどリュミエールには分かって満面の笑みを浮かべてリ
ュミエールは・・・・
「えぇ。分かりました」
「よしっ。それじゃ、一緒に歩こうぜ。リュミエール」
「えぇ・・・。今度はゆっくり参りましょう」
「あぁ。ゆっくり行こうな・・・」
そして今度こそ二人が離れないように・・・・
ゆっくりとゆっくりと歩き出した
思い出は思い出で・・・・
付き合い始めた二人にはまだ思いでと言えるような
ものはないけれど・・・・
確かに今日の海は・・・・
二人の思い出となった・・・・
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