クラヴィス様の謎
「クラヴィス様、どうしてクラヴィス様は片方だけピアスをしているのですか?」
「・・・・・・・っ!」
ある日突然マルセルから言われた一言だった。それは、子供が何にでも興味を
示すたわいのない質問だった。だが、クラヴィスは何時もの無表情を壊して動揺
しているのがハッキリ分かる・・・・。
「クラヴィス様、どうかなさいましたか?」
リュミエールが聞けどもクラヴィスの顔は固まっている・・・だが、暫くして正気
に戻り回りの状況を見ると眉間に皺を寄せながらぼそりと呟く・・・
「別に理由はない・・・・それに・・・・」
「それに?何ですか?」
「何でもない・・・・」
果たして何が言いたかったのか不明だがそれ以上の事を聞こうとしても岩のよ
うに固まってしまったクラヴィスの口は動きそうも無い。クラヴィスはすくっと
立ち上がると部屋を出ていってしまった。
「あっ!クラヴィス様!会議はこれからですよ」
マルセルが叫ぶと同時に扉は閉まってしまった。
「あ〜あ、マルセルちゃんがクラヴィス怒らしたぁ〜★」
「えっ!ぼっ僕そんなつもりじゃ・・・・」
マルセルはオリヴィエに囃し立てられて目に涙を浮かべる。
「弱いもん虐めすんなよ!オリヴィエ!」
ゼフェルがすかさず助け船を出す・・・
「虐めてるんじゃないよ〜ん!でも、折角奇跡的にクラヴィスが定例会議に来たっ
て言うのに出席しないまま帰っちゃあ、あのジュリアスが怒るだろうねぇ〜」
その言葉にマルセルの肩がビクリと揺れる・・・。
「どっどうしよう〜。オリヴィエさまぁ〜・・・」
「アタシ、しぃ〜らないっと!」
「オ〜リ〜ヴィエさまぁ・・・」
マルセルはオリヴィエに助けを求めて駆け寄るがオリヴィエはひら〜り、はら〜
りとかわして室内を走り回る・・・マルセルの手がオリヴィエのスケスケのストール
にもう少しで掛かると言う時!
「皆の者、待たせたな」
守護聖の首座ジュリアス様登場である。オリヴィエもマルセルも足を止めて澄
ました顔をする。
「・・・?本日の会議にはクラヴィスも来ていると報告をもらったのだが・・・」
その言葉にマルセルはぴきーんと固まる。
「あっあの・・・・ごめんなさい!ジュリアス様。僕が悪いんです!!」
「・・・・!?」
ジュリアスは目をぱちくりさせる。一体「クラヴィスが来ていると報告をもらっ
たのだが・・・・」と言っただけでどうしてマルセルがこんなにも謝るのかジュリア
スには皆目検討が付かなかった。
「何があったのだ。マルセル・・・・」
あくまでも優しくジュリアスは聞いた。
「僕の不注意な言動でクラヴィス様を怒らせてしまって・・・」
(信じられん!幾ら心の狭い(爆)クラヴィスでもこんな子供が言ったことで果
たして本気で怒るだろうか・・・・一体何を言ったのだマルセル!)
とジュリアスは固まった。
「一体何を言ったのだマルセル・・・・言ってみよ」
「えっ!えぇっと【どうしてクラヴィス様は片方だけピアスをしているのです
か?】ってお聞きしたんです」
それを聞いたジュリアスの顔が見る間に緩んでいく・・・・
「ふっ・・・ははっ、気にすることではないマルセル。クラヴィスは怒ったのでは
ない。大丈夫だ安心しろ私が保障する」
安心させるように肩を優しく叩いた。
「さぁ、会議を始めるぞ・・・」
ジュリアスが表情を崩すのはクラヴィスの微笑みを見るほどに希少価値なので
皆固まってしまっているが当の本人は気づかす「とすんっ」と静かに席に着いた。
『ちょっと!ちょっと!なに?あのジュリアスの言い方・・・仲が悪い癖に何でクラ
ヴィスのことを言ったらあのジュリアスが笑うのさ!』
『わっわたくしは、存じません。しかし、ジュリアス様が笑ったところを初めて
見ました。』
『あ〜確かにぃ〜★何時もあんな風に笑ってれば可愛いのにねぇ。ジュリアスも』
『おいっ!静かにしろ!2人とも今は会議中だぞっ!』
『うっさいねぇー。下半身男!』
『なんだとっ!』
『2人とも争いは止めて下さい!』
ヒソヒソ声でオスカーとオリヴィエの言い争いは続く・・・。
『ねぇ、ランディ。どうしてジュリアス様はクラヴィス様が怒っていないって分
かったんだろう・・・・』
『さぁ、何でだろう。クラヴィス様とジュリアス様は仲がお悪いので有名なのに
やっぱりさ、長く一緒にいるからお互いの気持ちが分かるのかな・・・・』
『おげーっ!きしょいこと言うんじゃねーよランディ野郎。そんなこと言ったら
まるであのおっさん達が恋人同士みたいじゃねーか!』
『えーそんなこと絶対にないよぉー!でも、気になるなぁ』
マルセルは自分が怒られなかった事に「ほっ」としつつも自分の疑問の解明に
向けてまっしぐら。げんきんなお子ちゃまである。
「・・・・・と言うことで今回の会議は終了する。」
ジュリアスの声に一早く反応し、マルセルはジュリアスの席にズンズンと近寄
った。
『あら〜、マルセルちゃんたら大胆★』
オリヴィエは面白そうに2人を見つめた。
「ジュリアス様っ!」
「何だ?マルセル、今の会議で分からぬことでもあったか?」
ジュリアスはきょとんとマルセルを見つめる。
「いえ、そうじゃないんです。ジュリアス様はクラヴィス様がどうして片方しか
ピアスをしていないのをご存じなのですか?」
「くっ、マルセルその話か。そなたも随分と探求心が強いのだな・・・はははっ」
そう言うと紺碧の瞳を細めて笑った。
「教えて下さい!ジュリアス様、これじゃ夜寝れません!」
「ふふ・・・それは困ったな。それでは教えよう・・・マルセル耳を・・・・」
ジュリアスはマルセルを近くに寄らせて耳元でポソポソと話す。皆部屋を退出
もせず2人を見ていた。本当はジュリアスが何を言っているか知りたかったが余
りの小さな声で聞こえない。「くそ〜マルセル、後で聞き出してやる!」と皆が
心の中で思った時!
「え゛ーーーーーーーーーーーーーーっっ!?」
耳を劈くマルセルの絶叫!ジュリアスも思わず耳を塞ぐ!
「騒がしいぞ!マルセル!」
「すっ、すみません!でも驚いちゃって・・・」
と言ったきりマルセルは黙ってしまった。
「マルセルこの事は誰にも言ってはならぬぞ・・・・」
「はいっ!分かりました」
マルセルは「有り難う御座いました」とジュリアスの手を力一杯握り締めると
意気揚々と部屋を出ていってしまった。パタンッと扉が閉まる音と共に部屋に残
された7人は・・・・
「ちょっとぉ〜ジュリアスvアタシにもクラヴィスのピアスのこと教えてよ!」
「それはダメだ。限定1名までだ。・・・ふふ」
ジュリアスは謎の言葉を残して部屋を出ていってしまった。
「何あれ!機嫌の良いジュリアスなんて、こーわい★」
オリヴィエは自分の肩を抱きしめならが身震いする身体を押さえるのでした・・・
一方噂のクラヴィス様は・・・・
「ジュリアスめ!私の秘密を言いおったな・・・・」
と肩を水晶球でジュリアスを見ながら落としていた・・・。クラヴィスの秘密。ジュ
リアス談・・・・
『クラヴィスはな、私と同時期にピアスを開けたのだ。だがしかしクラヴィスは
怖い!怖いと暴れてな回りに居た者に当たり散らしたのだ・・・それでやっと開け
られたのが右耳だけだったのだ。今のあやつからは想像出来ぬだろうが、幼い
頃のクラヴィスはそれはそれは恐がりで1人で昼も夜もトイレに行けぬ程だっ
たのだ・・・。
それが最近【・・・開ける】と言いだしてな両方ともあのアメジストにしたのだ
が・・・くくくっ。そなたも良く知っているようにあのアメジストは相当大きい品
物で両耳からぶら下げている様子は何とも滑稽なのだ!あははっ!私が笑った
らクラヴィスは両耳アメジストは止めてしまったのだ。だから今度良く見てみる
と良い・・・クラヴィスは右耳だけピアスをしているのではない。ちゃんと両方の
耳にしているのだ。因みに左耳はプラチナゴールドなのだ。髪で隠れて良く見え
ぬから風の強い日にでも見てみると良い・・・・』
これがクラヴィス様の秘密vだがマルセルは一つ気になった。それは・・・
(どうして、仲の悪いと言われているお二人が仲が宜しいんだろう・・・)
だけれど、今回の疑問は恐ろし過ぎてマルセルは聞けなかったのでした。
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