にゃんこでジュリアスv
光を浴びてピコピコと耳が動いた・・・。ここはジュリアスの館である。そして耳がピコ
ピコ動いたのはジュリアス。ピコピコ?ピコピコって何だ!
「ふぁ〜、今日も1日が始まるニャ」
ジュリアスはベッドの中で背伸びをする。目をこすこすと擦りベッドを降りると何だ
か後ろ足がすーすーする。でもそんなことは気にせずにジュリアスは顔を洗うため洗面
台に向かうとそこには大きな鏡がある。そこを横切った時ジュリアスは信じられないも
のを目にする。
「なんニャ!これわぁぁ〜っ!」
鏡を見ると何とジュリアスの耳が真っ白なネコ耳になっていたのだ。しかも後ろ足が
すーすーすると思ったのは、しっぽが生えていてそのしっぽが夜着の裾を持ち上げてた
のだ。だから、ジュリアスの白く細いおみ足が丸見えなのだ!
「どうすれば良いのニャ」
ジュリアスはハタと救いを求める者を思い浮かべると急いで顔を洗い、着替えて大き
なフードを被りハタハタと動くしっぽを服の上から押さえてある者の館へと向かった。
コンコンッ
「なんだ・・・・・」
「クラヴィス様、光の守護聖ジュリアス様がいらっしゃいました。」
(どうしたというのだジュリアスは確か今日は約束はしていなかったはずだが・・・)
「何か言っていたかあれは・・・」
「いえ、お見えになってから一言も・・・」
(あのジュリアスが一言も喋らないと言うのか・・・・)
「分かった、通してくれ」
「はい」
闇の館の執事は、頭を下げて退出すると直ぐに戻ってきてジュリアスをクラヴィス
の私室に通し、また頭を下げて去って行った。部屋に残されたのは2人だけである。
だがジュリアスは気まずそうにもじもじと身体を捩る。
「一体どうしたのだジュリアス?確か今日は逢う約束はしていないはずだが・・・。」
「・・・・」
「どうした?言いたいことがあったらハッキリ言えと何時もお前が言っているではな
いか、それにこの時間にこの様にフードを被らなくとも・・・・」
クラヴィスはジュリアスの被っているフードを優しく取ると目ん玉が飛び出そうな
ほど見開いている・・・
「クラヴィスゥ〜私はおかしくなってしまったのニャ〜」
そう言ってジュリアスは抱きついてきた。クラヴィスに取っては鼻血が出そうな口
調である。しかし、いつものように顔を整えることに必死に頑張る。その効果は制し
たようで・・・・
「ジュリアス落ち着け何があったのか言ってみろ・・・」
心残りは大分あるがジュリアスの手を外してソファーに座らせてやる。
「ニ゛ャッ!」
「どうしたっ!?」
「・・・・しっぽを自分で敷いてしまったニャ。」
ジュリアスは紺碧の瞳をうるうるとさせながら、そろそろとしっぽを出すとさすさ
すとさすった。
(しっぽまであるのかジュリアス・・・何とまぁ、おいしい姿になったのだジュリアス)
クラヴィスは内心ほくそ笑んでいた・・・と言うか鼻の下が、びろ〜んと伸びていた。
「さぁ、話してみろジュリアス」
ジュリアスはコクッと頷くとクラヴィスの瞳を真っ正面から見つめて話し出した。
「昨日は何時も通りに執務を終えて、定時に床に入ったニャ。本当に何もかも何時も
通りニャったのに、朝起きたらこんな姿になっていたのニャ〜。クラヴィスゥ〜」
(どうやらネコの姿のジュリアスは甘ったれらしいな・・・。ふふふ・・またそれも・・・)
「聞いているのかニャ!クラヴィス!」
「ああ聞いているとも、だが原因が分からぬのなら私にもどうしようもない・・・。陛下
に相談を・・・」
してみればどうだ・・・とクラヴィスが言おうとした時、
「そんなことはもうしたニャ!私のやることに、にゅかり(抜かり)はニャい!朝早
くてはご迷惑だろうからと文官を使わせた!どうニャ!だからもう暫く経てば陛下
のお返事が届くニャ・・・」
「そうか・・・」
ジュリアスは自分のした行動に満足しているのだろう耳がピンと立ちしっぽがふわふ
わと揺れている。
「それよりもお前気が付いているのか?」
「ニャにがだ?」
「言葉の端々に【ニャ】が付いているぞ」
「そんなことはニャい!嘘を申すでニャい!クラヴィス」
(ふぅー。どうやら本気で分かっていないようだな・・・。ジュリアスは・・・。でもまぁ
気が付いてネコ語?を止められては私の楽しみが無くなるしな。このままで良しと
するか)
クラヴィスの楽しみとは一体どんな楽しみなんだ!と突っ込みを皆さんが入れた時
扉がノックされ執事が入って来て手紙をジュリアスに渡すと速攻出ていってしまった。
「2人が一緒にいるときは邪魔をしてはいけない」と言うことを良く分かっている執
事だった。
「なんだ?ジュリアスその手紙は・・・」
「陛下からの手紙ニャ」
「見せて見ろ!」
「ニャ!」
ジュリアスから手紙をふんだくるとクラヴィスはアンジェリークからの手紙を開け
たそこには・・・
(何だ!この手紙は!この内容をどうやってジュリアスに言えばいいのだ)
と頭を掻きむしりたくなるほどの文書が書かれていた。
「ニャにが書いてあったのニャ!クラヴィス。」
「・・・・・」
「クラヴィス?」
「落ち着いて聞けよ。ジュリアス・・・」
「あっあぁ・・・」
「では・・・・コホンッ」
クラヴィスは一つ咳払いをすると大きく息を吸ってアンジェリークの手紙を読んだ。
『ジュリアス!ネコになっちゃったんですってぇ?それね、どうやら私のせいみたい
うふっv昨日ねぇ〜、女官の所で産まれたって言う子猫の話をしていたら容貌がジュ
リアスそっくりなんですものネコとジュリアスを重ね合わせていたらそんなことに
なっちゃったみたいのなのvvごめんなさいね!だけど明日には元に戻ると思うか
ら今日いっぱいネコ気分を味わってぇ〜v ばい、アンジェリーク』
「・・・・以上だ。」
「陛下〜!どういうことニャのですかー!」
「どういう事もこういう事も無いだろう、こういう事だ明日には戻ると言うことだか
ら観念して今日はそのまま過ごすことだな・・・。変なフードで隠そうとするな逆に
妙に目立つぞ。」
「そんニャこと言ったって・・・・」
ジュリアスは両手でネコ耳を押さえたその姿が何とも愛らしくてクラヴィスの欲望
がにょきにょきと育って来た時・・・・
「失礼いたします。クラヴィス様、そろそろ執務の時間ですのでお迎えに参りました」
リュミエールの登場である。
「ちっ、リュミエールか・・・」
クラヴィスはガックリと方を落とした。ジュリアスは「リュミエール」と言う言葉
に反応してクラヴィスのせいで前が見えないので身体をぴょこっとずらしてリュミエ
ールを見た。
「ジュ、ジュリアスさま!?」
普段は落ち着いて物静かなリュミエ−ルも驚いたようで大きな声を出した。
「リュミエールかニャ、どうか私の姿を見ても笑わないで欲しいニャ・・・」
ジュリアスは恥ずかしそうに俯いた。リュミエールはすすすっとジュリアスに近付
き手を取ると腰を下ろしてジュリアスの瞳を見つめた。
「笑うなんてとんでもありません・・・今のジュリアス様のお姿の愛らしいこと」
「ホントかニャ?リュミエール・・・」
「えぇ、本当です」
リュミエールは熱っぽい瞳でジュリアスを見つめる。何だかいい雰囲気の2人であ
る。勿論こんな雰囲気の2人を許す筈のないお人がいる・・・
「さぁ、ジュリアス。執務に行くのだろう?早く行くぞ」
クラヴィスはジュリアスの手を取って立ち上がらせると扉へと急いだ・・・
「ちょっちょっと待つニャ!クラヴィス」
ジュリアスの言葉を聞くはずもないクラヴィスは扉に手を掛けて外に出た。リュミ
エールは何故か満面の笑みでジュリアスの後を付いていく。だが、クラヴィスは流石
と言っていいのか満面の笑みの中に何かがあると感づいて、ぴたっと止まる
「なんなのだ。リュミエール、何がそんなに楽しいのだ・・・・」
不機嫌極まりない声で話す。
「いいえ。別に何もありません」
涼しげな声で答える。ハブとマングース状態である。バチバチと火花が散る。その
時クラヴィスは少し困ったような顔をするジュリアスが眼に入って何気なく視線が下
にいった時に気が付いたなんと!ジュリアスの長衣の後ろが捲れ上がっているのであ
る。クラヴィスはダダダと走り後ろを見る
(何と言うことだ!ジュリアス!お前の白く細い触り心地が良い足が丸見えではない
かっ!!一体何が!あぁ、そうかしっぽが裾を捲っているのか・・・私としたことが気
付かぬとは全くもって大失態だ!!リュミエールなどにこの足を見せてしまうとはっ)
クラヴィスは、ばふっとジュリアスの長衣を押さえて執務室に走り出した。
「ふふふ・・・・もう少し見ていたかったのですが、まぁ仕方が無いでしょう・・・・」
口元だけに笑みを浮かべリュミエールは静かに闇の館を後にした。
一方クラヴィスはジュリアスの触り心地の良いお尻を触り・・・いや、押さえながら自分
の執務室へと急いだ・・・。だが、クラヴィスは気が付いていないありとあらゆる人間にそ
の姿即ち「ジュリアスのお尻を握って走るクラヴィス」と言う姿を見られているなどク
ラヴィスは知らないのである。
部屋に着きバタンと勢い良く扉を閉めるとクラヴィスはぜーぜーと息を弾ませながら
執務机の引き出しを開けてハサミを取り出した・・・
(ニャッ、ニャんなのニャ!クラヴィス、まさかそのハサミで私の耳やしっぽを切るつ
もりニャのか?いやニャそんなこと死んでしまうニャ。)
ジュリアスはクラヴィスの姿に怯えて後ずさる。当たり前の事だろう、あのクラヴィ
スがぜーぜーと息を切らしハサミを持って近づいてくるのだから・・・
「・・・・ジュリアス。」
「ふぎゃーッ」
そう叫びながらジュリアスは扉の外に飛び出した。飛び出したからにはそこに通って
いた者にあたる・・・
「おっと!」
弾丸のように飛び出してきたジュリアスを下半身男、エロスカーもと言いオスカーが
受け止める。
「じゅ、じゅりあす・・・さま?」
「オスカーッ!」
ジュリアスはオスカーに助けを求めてしがみつく。それを拒むところかオスカーはジュ
リアスの腰に手を回しギュッと抱きしめる。
「どうしたのですか、そのお姿は・・・・」
「陛下にこんな姿にされたのニャ。それよりもオスカー助けてくれニャ、クラヴィスに
耳としっぽを切られるニャ!!」
「そんなことは・・・」
ジュリアスを愛するクラヴィスに限ってそんなことはしないだろうと思いながらもオ
スカーは背後にジュリアスを庇った。自分をめざし歩いて来るクラヴィスの何とも恐ろ
しいあの形相!これならジュリアスに怒られた方がまだましだ!と思うオスカーなので
した。
「・・・オスカー、ジュリアスを離せ」
地を這うような声が廊下に響いた。
「ですが・・・・ジュリアス様の耳をお切りになるとか、そんなことはさせられません」
「馬鹿かお前は、私がそんなことを愛するジュリアスにするわけが無かろう。これは、
ほらあの為だ・・・」
何気なぁ〜く、オスカーに自分たちがラブラブなのをアピールするとクラヴィスはジュ
リアスの下の方を指差した。指差す方を見ればジュリアスのおみ足がチラリと見えて・・・
・・・それで、オスカーは倒れた。鼻血を吹きながら・・・
「オスカー!どうしたのニャ!」
「オスカーは大丈夫だ。それよりジュリアス早く切るぞ!」
「いやニャ!クラヴィスは私を殺す気ニャのだ!」
「まったく何を言っているのだ。ほらその様に長衣の裾がしっぽで捲れてしまうだろう
だから、このハサミでしっぽの出る所を作ってやるのだ・・・ほら、早く来い」
「そうだったのかニャ・・・」
ジュリアスはクラヴィスのやろうとしていることを知ると素直にそれに従った。
・・・・・ジョッキン。
「どうだ?ジュリアス・・・」
「何だか、すっきりしたニャ!」
今迄重い長衣を持ち上げていたしっぽは、自由を得て機嫌良さそうにゆらゆらと揺れ
る。
「ありがとう!クラヴィス、私はこれから執務をしに行くニャ。では・・・」
ジュリアスが去ろうとした時、むんずとクラヴィスがジュリアスのしっぽを掴んだ。
「フニャッ!」
「ちょっと待てジュリアス。今日は私の部屋で執務をしろ。」
「どうしてニャ?」
(そんなのは決まり切ったこと!今のお前の姿を見て他の者がどうなるか分からないか
らなオスカーはあの様に鼻血を噴いただけですんだがあの奇想天外なオリヴィエが今
のジュリアスを見て何もしないと言うことはありえないからな・・・。私の眼の届くとこ
ろにジュリアスを置いて置かねば食われてしまう)
「余りその姿を見せたくわないのだろう?だったら私の部屋が一番良いのではないのか?
人が寄りつかぬからな・・・。」
「そうかニャ・・・では、そニャたには悪いが使わせてもらうニャ」
「そうするがいい・・・」
まんまとクラヴィスの蜘蛛の巣に捕まったジュリアスはクラヴィスの見えない触手に
囚われたのでした。クラヴィスはニタリと怪しい笑みを浮かべると自分の執務室のドア
を閉めたそうです。
・・・・キィー・・・・バタン。ガチャリッ。
2人は翌朝までその部屋からは出てこなかったそうです。
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