湖 烟
うっとうしい うっとうしい うっとうしい うっとうしい 何もかもが鬱陶しい 私に大人であることを要求する者 だのに大きな決断を示す時には「まだ子供だから」と意見を聞いてはくれない大人。 すべてが鬱陶しい。 クラヴィスは?クラヴィスはあのままでもいいのか? 母が恋しいと故郷が恋しいと毎日、毎日泣いて過ごして。 それを皆は仕方がないと苦笑をもらす。 私は?私の時はどうだった! 泣くことも許さず、寝ることも許さず、毎日毎日私の頭に聖地の事を叩き込んだではないか なのにクラヴィスは、クラヴィスはあんなに回りの大人の庇護欲を掻き立てそれに甘んじている それが許せない。 私も、私も・・・・甘えたいのに・・・・。 気を張らず心を休めたいのに・・・・ それも許されないと皆は言う どうして、どうして!  腰を下ろした湖の畔は夏に向けて青々と茂っていた。風にそよそよと吹かれ夏の匂いが香ってくる・・・ 湖は陽の光を反射してとても綺麗だった。水に手を浸してみればひんやりと冷たかった。そして、何故だか 涙が出てきた ふっ・・・ふふ・・・・。 汚れて熱を持った心が沈んでいくのが分かる どうして、こんな汚い思いを持ってしまうのだろう クラヴィスとは関係ないのに クラヴィスを憎んで クラヴィスは悪くはないのに 私が悪いのに 誰からも愛されぬ者が愛を求めても無駄なのに・・・ 馬鹿な私だな・・・。 きたない きたない きたない きたない すべてが 私の全てが汚く汚らわしい・・・ こんな私でも愛する者が出来るのだろうか・・・ ふと考えた時、また笑いが出た。 こんな私を誰が愛してくれるのだろうと 笑いが出てきた・・・。 望まない。   望まない。 望んでも無駄なものは 望むと言う気持ちだけで虚しくなる 夢を見れば現実もその様にと夢を見てしまう。 だから、止めよう。 夢を見るのは 何かを望むのは・・・・。 止めよう。 止めてしまおう・・・。  ジュリアスは湖に顔を浸けて水の中で叫んだ。心の全てを叫んだ・・。ここでは誰にも分からないだろうと 息の続く限り叫んだ。  ジュリアスを見つめる人影にも気づかず夏が近付く蒼い空の下で叫び続けた・・・。 それは遠い記憶の彼方。 まだ、ジュリアスが守護聖の長になる前 静かな湖の中に沈めた思いだった・・・・。
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