allazward
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風が薫る季節、この時期になるとやけに回りが騒がしくなる。・・・・それはどうも私の
生誕を祝ってくれる様でその準備にどれが良いとかあれが良いとか何が欲しいとか色々
聞いてくるのだ・・・・。生誕を祝ってくれる、それは本当に嬉しい。これは私の嘘偽りの
無い思いだ・・・だが、こう取っ替え引っ替え執務室に人が出入りする。はっきり言って
はっきり言って・・・・
「鬱陶しい・・・・・」
「・・・?何か仰いましたか?ジュリアス様。」
「い、いや。何でもないオスカー、この書類を頼んだぞ」
「はっ」
オスカーは一礼をして去っていった。ふぅ、危なかった。皆一生懸命に私のために準
備をしてくれているのだ。その思いを曇らせたくは無いからな・・・・だが、「プレゼントは
何が良い?」と聞くのだけは止めて欲しい。「何が良い?」と聞かれて「これが良い」
と言う者もいまいだろうに・・・・。それに今の私に欲しい物など無いし・・・・聞かれても困る
のだ・・・・。
「はぁ・・・・」
「・・・・フッ」
まだ日も高いはずなのに私の手元が陰る。それは私の背後にある開け放した窓からの
侵入者のせいだ。
「何だ?クラヴィス、その様に笑って」
溜息混じりにジュリアスは後ろを振り返った。
「その様に溜息を付いていると幸せが逃げていくぞ・・・・ジュリアス」
「ふふ、懐かしいなその言葉は、確かカティスが何時も言っていた言葉だ」
それはカティスがまだ聖地にいて、2人が幼い頃良く口癖のように言っていた言葉だった。
クラヴィスはジュリアスの背後から回り執務机の端にもたれ掛かる・・・・外からは青い風が
部屋を満たす・・・
「溜息など付いて。どうせまた考えなくても良いことばかり考えていたのだろう」
「その様なことはないが・・・・。だが・・・・」
「だが?」
「その私は今、皆が一生懸命に私の為に支度をしてくれている事で悩んでいるのだ」
普段のジュリアスからは考えられないように自分の悩みをすらすらとクラヴィスに言っ
た。それは、最も信頼置けるクラヴィスだからであって。恋人でもあるだから心を許し
ているのだ。
「ほう?」
「皆は私に【欲しい物は?】と聞いてくるのだ。だが、私には欲しい物がない。遠慮を
しているわけでは無いのだ。本当に私には欲しい物が無いのだ。それを言うと皆悲し
そうな顔をして去っていく。それを見る度に心が痛むのだ・・・どうすればいい。クラ
ヴィス」
クラヴィスは緩む自分の頬を押さえられなかった。ジュリアスという人間は他の者に
は与えるのに自分には何も与えない。そう言う人間なのだ・・・。不器用な人間だとは思う
がそう言う外見の完璧なまでの容貌とそれとは異なる内面の不器用さがクラヴィスは愛
おしいと感じる。
「欲しい物がないのならばこれはどうだ?ジュリアス・・・・・」
「何だ?何か良い案でもあるのか・・・」
ジュリアスは救いを見付けたかのように紺碧の瞳を大きく開き期待に満ちた顔をする。
太陽の光がジュリアスの瞳に吸い込まれ輝きを増している・・・・
「何か欲しい物があるか?と聞かれた時には・・・・」
「・・・・・・」
「【クラヴィスが欲しい】と言えば良かろう」
「なっ!何を言うのだそなたはっ。そんな恥ずかしいことは言えぬ!」
顔を真っ赤にして俯いてしまったジュリアスは両手で自分の膝をギュウッと握りしめ
た。
「ん?どうした、ジュリアス。別に嘘ではないだろう?」
私の顔を上に向けさせながらクラヴィスは意地悪く聞く。恥ずかしさで、隠れてしま
いたいのにクラヴィスの紫色の瞳と正面を向かされる。私の答えが分かっていてクラヴィ
スはこういう行動に出るのだ・・・。深い紫色は安らぎの色で私の心を捕らえていく・・・
「・・・・う、うむ」
可愛い気の無い返事を私はしてしまう。クラヴィスは別にそれを気にしていないよう
に話し出す。
「ならば素直に言えばいいのだ。私が欲しいと・・・」
「だっ、だが・・・・」
「そんなことは言えないか・・・・」
「・・・・すまぬ」
くすっとクラヴィスは笑うとジュリアスの背後に回り抱きしめた。そして耳元に囁くよ
うにして言った。
「だから、私が皆に言っておいた・・・」
「何を・・・・」
「ジュリアスが私を欲しいと言っているとな・・・・」
「そっ、そんなこと」
「そんなことは言わなかったが、私と2人で過ごしたいと言っていると言った。」
「いきなりその様なことを言って皆がどう思ったか・・・・」
ジュリアスはすまなそうに項垂れた。
「皆は【そうか】と嬉しそうに言っていたぞ。やはり生誕日には恋人同士で過ごす物だ
と言っていた。逆に気が利かなくてすまなかったと言っていたな・・・」
「そうなのか。」
「あぁ、お前の生誕日はまた別の日に集まってしようと言っていた」
「そっ・・・・・」
それではまたあの質問に悩まされるのだな私は・・・・。
「クスッ、安心しろ。お前へのプレゼントは美味い料理とワインにしろと言っておいた」
「ありがとう。クラヴィス、安心した」
ジュリアスは後ろにいるクラヴィスに安心した様に頭を預けた。
「そこでジュリアス、私から少し早いがお前にプレゼントがある。ほらこれだ・・・」
私の前で小さな箱が開かれた。そこにはアメジストとラピスラズリを組み合わせた指
輪があった。
「私からのプレゼントだ。ラピスラズリは《金色の星宿す群青の夜》とか《最も神に近
い宝石》と言われている・・・予言者や霊能力者が幾千年前から、ラピスラズリには超自
然的な力が宿り宇宙の高次な力が働く事を発見し、そのパワーの逸話を伝承してきた
と言われている。そしてそれには「負」の意味を持つ神話は1つとしてなく、多くの
幸福の神話のみが伝えられてきているのだ。」
「ほぅ、不思議な宝石なのだな・・・」
ジュリアスは陽の光に翳して輝きを楽しむ・・・・
「さまざまな事は言われているが私はこの宝石の色がお前の瞳の色と似ているから購入し
たのだが・・・」
「ふふ・・・今の言葉は後で分かったのか?」
「実はそうだ」
クラヴィスは戯けたように肩を竦ませて言った。それがジュリアスには可笑しくて・・・
「でも、私は嬉しい。そなたが選んでくれた物だ、私の為にと・・・それが嬉しい。ありが
とうクラヴィス」
「それでだジュリアス。私と2人きりの時にはその指輪をしてくれ・・・」
「勿論だ・・・」
クラヴィスはジュリアスの手を取り口付けをする
「親指は権力のシンボル、人差し指は悪い人物を近づけない、中指は人間関係から起こ
る悪い出来事をくい止める 。薬指は愛のシンボル、小指は異性や結婚を避けると言
われている・・・まぁ、人差し指も良いが私は薬指にして欲しい・・・」
「わ、分かった・・・」
頬を染めてジュリアスは頷く・・・。
「でも、何故このラピスラズリとアメジストの組み合わせなのだ?」
「それはこの組み合わせが最も良いと知っていたからだ・・・」
「最も良い?」
「あぁ、恋人たちの愛情を深め合うだけでなく、互いの信頼関係を築き上げて精神的絆
を強めてくれる組み合わだからなこの石は・・・。」
「そうなのか、知らなかった。では、その謂われを崩すわけにはいかぬな・・・クラヴィス」
ジュリアスは微笑みながらクラヴィスに語りかけた。
「あぁ、そうだぞ。これ以上に仲睦まじくやっていかねば・・・」
すべてを愛おしむようにジュリアスを抱きしめる。それが合図のようにラピスラズリ
の瞳は閉じ2人は重なり合う。ラピスラズリ《最も神に近い宝石》はアメジスト《恋人
を招き寄せる宝石》に弱い・・・だがそれを嫌ってはいないようだ・・・。
2人の手の中で宝石は優しく輝き続けた・・・・
END
このお話はクラジュリを愛する方すべてに捧げます。
サイトマスターの方でもしこのお話が気に入られたら
サイトの方にUPしてもOKです。
つまり、お持ち帰りOK創作と言うことで・・・・。壁
紙などはご自由に・・・・著作権は放棄はしていません
のでご了承下さい。お持ち帰りの際に「持って帰った
ぜ」と一言カキコをお願いします。
共にジュリアス様の生誕をお祝いしましょうv