【 心の底から 】
信じてた
ずっと
貴方の言葉を馬鹿みたいに
それを見たのは偶然か必然だったのか・・・・俺は何時もの報告書を大佐に渡すために東方司
令部に向かう途中だった。秋も終わりに近付き器械鎧の身体には辛い季節になってきて少し
暖かい飲み物でも飲もうと喫茶店に入った時、聞き慣れた声がした。
「・・・・・君が望むなら朝まで付き合おうか?お嬢さん」
「・・・・マスタング大佐・・・・」
聞こえて来る話は仲睦まじい恋人同士の会話・・・。俺は世界が終わった気がした。
「あぁ、兄さん。マスタング大佐だよ!わぁ〜綺麗な女の人だねぇ・・・。ねぇ、挨拶しに行こ
うよ!あっ・・・でも、今声かけたら悪いよね・・・ねぇ、ねぇ、どうする?」
うるさい・・・・
「わぁ、手握ってるよ!」
うるさい。
「何してる人なんだろうね。本当に綺麗な人だね!」
うるさい!うるさい!
お願いだから黙ってくれ。これ以上、俺の傷を広げないで!
「アル・・・・・・・行くぞ。」
黙ってその店を出ようとした時、店に入ろうとした女性客のグループがアルの姿を見て小さ
く悲鳴を上げた。
「きゃぁっ!」
それは仕方の無いことだ誰もいきなり目の前に鎧が現れたら驚くだろう・・・・でも、こんな時
に限ってこんな声を上げられたら・・・・・気付かれてしまう・・・俺は恐る恐る視線を大佐の居る方
に動かすと漆黒の瞳を驚き開いている大佐の顔が目に映った・・・。
彼が・・・自分を見ているその事だけで涙が出そうだった
「マスタング大佐どうかなさいましたか?」
「いえ・・・・あの・・・・」
大佐の目の前に座っている女性が大佐に声を掛ける。心配そうに見上げる女性、それに答え
る大佐。一枚の絵のように綺麗だった。
「・・・・鋼の・・・」
大佐がこっちに近寄って来ようとする。駄目だ。近付いてきたら、俺はアンタに何を言うか
分からない・・・
俺は・・・・
俺は
自分に出来る精一杯の事を・・・・
「ニコッ」
微笑んで見せた。言葉よりも笑顔を・・・・・コレでアンタに全てが伝わると良いな・・・そう思っ
た。何か一言言ったら溢れる水のようにアンタを責めてしまいそうだった・・・。冷静に・・・・冷
静に・・・・自分を言い聞かせて店を出て・・・・
そして
俺は
走った・・・・・
ボロボロ涙が出てきて・・・・止まらなくって・・・・嗚咽か口から漏れる・・・アルが仕切に後ろか
ら追いかけてくる足音が聞こえたけれどそれも何時しか聞こえなくなった・・・橋の袂に腰を下
ろし膝を抱え夜の暗闇の中で泣き続けた・・・・。
始まりは何時だったか・・・俺と大佐は恋人同士だった・・・それは誰にも秘密の【恋】大佐の
片腕も親友も部下も知らなくて、俺の弟も少し恐い器械鎧技師も田舎の優しいばっちゃんも
知らない2人だけの秘密。東方に来た時は必ず会って大佐の家に行って話したり何処かに行
ったり食事に行ったり外面的には【上司と部下】と言う仮面を付けて行ったてたけれど俺は
充分に嬉しかった・・・・けど・・・今日見た大佐は・・・俺と居るどんな時よりも格好良く見えた。
本当に・・・・俺と居るどんな時よりも・・・
こんな時が来たら言おうと思ってた・・・
笑顔で
「さよなら」と
後、ほんの小さな嫌味も込めて
「幸せになれよ」と・・・・・・
でも実際、こういう場面に遭遇したら言えなくって口を吐いて出てきそうになったのは責め
る言葉ばかり・・・・必死に逃げて来たけれど暫くは会えそうも無い・・・・
鈍く光る月の下、涙でぼやけるエドワードの瞳に飛び込んできたのは意外なモノで身体を
震わせながらそれに近付いていく・・・・この時エドワードは翌朝起こる事を勿論予期出来てい
ない・・・・いや、誰にも予期できる範疇では無かったのだ・・・。
エドワード・エルリックと言う人間はこの日を境に東方からもこの世の世界からも姿を消した・・・・。
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9月26日のイベントCM用にUPしました。続きは
コピー本に続きまする・・・・。