【完熟素材】
目の前にばばーんと突きつけられた物にそう書いてあった。突きだした相手は距離
間も考えずに手塚の目の前すれすれに出す。
「何なんだこれは・・・」
「みかんの実まるごとデザート【完熟素材】温州みかんだにゃーv」
菊丸は嬉しそうにカップの蓋をベリッと剥くと【ジャンッ】また手塚の目の前に突
きだした除いて見ればみかんの実がそのまま冷凍されたフローズンフルーツだった。
「それでこれがどうしたと言うんだ・・・・」
呆れた様に溜息混じりでそう言うと誰かこの菊丸から助けてはくれないかと回りを
見回すが皆帰り支度で忙しいらしく誰も見てはくれていない・・・
「これを手塚に食べて欲しくってねー部活が終わったて速攻で買ってきたんだv」
「何でこれを俺に食べて欲しいんだと思うんだお前は・・・・」
「だってこの【温州みかん】君。手塚って感じがするんだニャ!不二は苺って感じが
するけど手塚はみかんって感じがするんだな。だから食べて!はいっ」
ずいっとフォークに刺されたみかんが手塚の唇にひんやりと押しつけられた。何か
言ってやろう口を少し開いた所でグイッと菊丸がみかんを強引に押し込んだ。
「はいっ、あ〜んv」
「むぐっ」
口の中に甘酸っぱい冷たい物が残されたが不快感はない。テニスをした後の火照っ
た体には心地よい清涼感だ。
「おいしぃ?手塚。」
・・・・・こくんっ。
頷く手塚を見て嬉しそうに微笑むと菊丸は先程手塚の口に入れたフォークでみかん
を刺すと今度は自分の口の中に入れた。
「あっ!」
「なに?手塚。」
「なっ、何でもない・・・・」
(人の使ったフォークで物を食べるのは気持ちが悪くはないのだろうか・・・。あんな
カップにボコボコ入ったみかんなんて手で摘んで食べれば良いのに・・・。菊丸が律
儀にフォークで食べるとは思わなかったな・・・)
と天然ボケ大爆発な手塚をもとに菊丸の心中は・・・・
「(わぁーい!手塚と間接ちゅーニャvv)」
大喜びであるがその様子を見ていないようでしっかりと眼(まなこ)に焼き付けて
いる不二の姿を2人とも知らない・・・。
(エージったら僕の手塚に随分な事をしてくれるじゃない?手塚も手塚で全然注意力
が足りてないし・・・。これは僕の家でお仕置きかな?・・・ふふっ)
不二の呪いオーラを受けつつも何も感じていない菊丸は不幸中の幸い?と言えるの
かどうかは別として手塚の手を掴み無理矢理立たせて
「一緒に帰ろ、手塚」
と言った不二と連れて帰られた手塚のその後が気になった部員一同だった。
「大石・・・・明日はお前が鍵当番だな。」
「やっぱりそう思うか、乾」
「手塚が何時も一番に来て鍵を開けているがアレじゃ明日は絶対的に無理だろう?」
「そうだな・・・」
まるで、老人が盆栽を見つめながら言うような落ち着きで2人は話すと部室を後に
した。
鈍塚と黒不二を持つテニス部はなかなか大変そうだ・・・・。
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