恥じらい5
〜作戦実行その3〜
              「ハッッッ!?・・・やだぁ〜草まみれじゃないぃ〜」                             気を失っていたにも係わらず、開口一番に己の身の回りを気にする美貌の守護             聖オリヴィエだった・・・。               「ちょっと、起きなさいよぉ〜クラヴィスッ!!」              ・・・・身動き1つしない。               「ちょっとぉーっ!・・・!!」              何かを思い付いたようである・・・。               「ジュリアスが半裸で横たわっているわよ(ボソッ)」                             ぐわばぁぁぁ−っ!凄い勢いでクラヴィスは起きあがった。               「さっすがジュリアス効果だねvでも残念でしたぁ〜!ジュリアスなんてい                ませんよぉ〜んふふv」              騙されたと知ったクラヴィスは、突っ伏して泣き出した。・・・それほどショック             だったのだ【半裸のジュリアス】が居ないことが期待して起きてみれば化粧の厚             い香水プンプンのオリヴィエの顔があれば身体のどこかしこもヘコむのは当然・・・・               「・・・って顔しているわよ!クラヴィスッ!!」              無表情のクラヴィスにしては表情に言葉がありありと出てしまったらしい・・・み             ょーんとクラヴィスの両頬を引っ張ってパチンと手を離す。               「ったっく!余りにも顔に出過ぎてて怒る気も失せちゃうわよ・・・まぁ、い                いわ今の事に関しては又後で・・・覚えてらっしゃいよ・・・ふふふ・・・」              赤く染まった両頬をスリスリとさすり背筋を冷たいものが走るクラヴィスであ             った・・・。              一方、ジュリアス搬送(?)チームは・・・               「っお!降ろせ、ヴィクトールッ!」               「わぁ、はっはっは・・・もう少しですよ!ジュリアス様!」               「そんな事は言っていない!」              何を言っても無駄だと感じたジュリアスは、せめてものヴィクトールへの嫌がら             せにだらぁーんと身体の力を抜いた・・・。               「おっ!ジュリアス様、ちょうど良い重さになりましたよ!」              くそっ!逆にヴィクトールは喜んでしまったではないか・・・ガックリ。               「オッオイ、ヴィクトールもう少しだぞ・・・」                  「オスカーッ!!そなたっそこにいるのだろう!何故私を助けぬっ!くそっそ                なた夜遅くに下界に降りているだろう!仕事にプライベートは持ち込まな                い奴だと目を瞑っていたが今度からは罰せる!それが嫌ならヴィクトール                を殴っても止めろっ!」              またじたばたと暴れ出したジュリアスであった。               「オスカー様!もう少しの辛抱ですよ、目標は直ぐそこです!」               「あっあぁ・・・」                (だが、下界に降りるのを止められたら俺はもう生きては行けん。どうすれば               いいんだ・・・頭掻きむしり)               「先ずはジュリアス達が来る前にアンタのその寝ぼけ顔をどうにかしないと                ねぇ〜あぁ、そこに湖があるじゃなぁーいvほれっ、クラヴィス顔洗って                きな!」              オリヴィエはクラヴィスの背中をすりすりゆっくり動くクラヴィスの背中をど             ついて送り出した。クラヴィスは何時もの自分の歩調とは合わずとととっと足が             縺れて湖に着く。               「・・・・(危なかった)」              ドキドキ心臓が言っている。あのままコケていれば、顔面から湖に浸かってい             た。               ピチョンッ・・・・               「・・・・(冷たい)」              湖の水はとても冷たすぎて顔を洗う気になどなれないので、オリヴィエが見て             いないのを確認すると両手に水をすくって顔の近くまで持ってくるが顔には付け             ず・・・・と言うのを繰り返して洗っているフリをした。               「(ふーこれで、ばれ・・・・)」              と後ろを振り返るとずももももーとオリヴィエが自分を見下ろしていた。               「それでバレないとでも思ってんのアンタッ!」              がしぃぃっと頭を掴まれて湖に顔を突っ込まれる。               「がぼがぼがぼ・・・・」               「よしっこれでいいかなv」              ざばっと顔を引き上げられタオルを渡されるが、クラヴィスはそれどころでは             ない。               「ケヘッ・・・ケヘッ・・・・(涙目)」               「あぁ、ちょっと苦しかった?」              ちょっとどころではないと思うのだが・・・・。オリヴィエは何時もの調子で「ごっ             めーんv」と言った。全く人をおちょくった謝り方である。               「許してやってよ!良いじゃん、ジュリアスとこの後仲良くなれるんだからv」               「・・・・・っぽ。」              許してあげる事にした。まったく人の良いクラヴィスである。               「(クラヴィスなんてちょろいちょろいv)」               「・・・・・?」               「何でもないわよ!やぁーねv」              ばいんっと背中を叩くオリヴィエであった。               「ケホッ・・・・・」               「あーっ、クラヴィス。ジュリアス達来たみたいよ!ほらっスタンバッて!」              ずるずるとクラヴィスを引きずると定位置に立たせてオリヴィエは身を隠した。               「はいっ、ジュリアス様。着きました」              ぎゃいのぎゃいのと騒ぎ立てるジュリアスを、すとんと肩から降ろす。すると             むがーとオスカーに向かって行きそうになるのでヴィクトールは「どうどう」と             沈めると橋の目の前に案内した。               「して、何なのだ?この橋は・・・・」               「先程言ったではありませんか!湖に橋を私から見て頂きたいと・・・」              キッとジュリアスに睨まれたオスカーはヴィクトールの後ろに隠れた。               「実は俺が作ったんですよジュリアス様。ですから、是非見て頂きたいと思                いまして・・・」               「そうか。そうだったのか・・・苦労しただろう、素晴らしい橋が出来たなヴィ                クトール」              (どうしたって言うんだジュリアス様、俺の時とは随分と違うじゃないか!)              ヴィクトールと自分の扱いの違いにオスカーはおかんむりである。               「ヴィクトール、橋を渡っても良いか?」                             この言葉に待ってましたとばかりに2人はニタリと顔を歪ませた。               「えぇ、どうぞどうぞ!」               「それでは・・・・」              とジュリアスは一歩一歩、歩き出した。               グラグラ・・・               「おい、ヴィクトール随分と揺れるのだなこの橋は・・・・?」              後ろにはずの2人を見るが誰もそこには居なかった。ジュリアスは「まったく             どこにいったのだ」とぶつぶつ良いながらも橋を渡る。               ゆらゆら・・・               「ドキドキ、吊り橋だから揺れるのだ仕方がないのだがそれにしても揺れす                ぎではないのか?危険な・・・」              下の湖を見てみれば湖面に太陽の光が反射して美しく光を放っている。               「美しいな・・・」              あとどれ位なのだろうと橋の向こう側を見ればクラヴィスが立っていた。               「あの者は何をしているのだ。」              やっと、ジュリアスの視界にクラヴィスが入ったらしい・・・。良かったね!クラ             ヴィス様。               『・・・ジュリアスだ』              湖面の光を従えて歩んでいるジュリアスにクラヴィスはもう鼻血が出そうだった。               『・・・でも、大丈夫。オリヴィエに鼻栓してもらったし』              と言うことなのでこの間のような事にはならないで済むだろう。               「・・・?。クラヴィスはどうしたのだ?何故あの様に輝いているのだ?」              それは、オリヴィエに湖に沈められてからと言うことをジュリアスはまだ知ら            ない。ジュリアスはズンズンとクラヴィスに近付いてきてそして橋を渡りきり目の            前で止まった。               「・・・・・クラヴィス。」               『わージュリアスが、クラヴィスだって!どうしようどうしよう・・・』               「クラヴィス、どうして・・・・」               『バクバク・・・』              クラヴィスの心臓も踊り出す。因みに回りに潜んでいる3人の心臓も・・・               「どうして、今迄気が付かなかったのだろう・・・」               [クラヴィスの魅力にってこと!]                               ごんっ!               [あいたっ!何すんのよ!]               [少しは黙ってろ]              木の陰でコソコソと解説&突っ込みをする2人だった。               「そなたは濡れていたのだな。」               「「「「・・・・はっ!?」」」」               「橋の上から見たときそなたは輝いて見えた。それが不思議だったのだが、                今ようやっと分かった、なぜそなたは濡れているのだ?全くしょうのない                奴だな・・・ほら、これを貸してやるからこれで拭け!髪が濡れているぞ・・・」              ジュリアスは自分の懐の中からハンカチを出すとぽてっとクラヴィスの頭の上             に乗せた。               「ではな・・・」              そう言ってジュリアスは去ろうとした。木の陰に隠れていた3人が慌てて飛び             出して2人を囲んだ。               「ジュリアス」               「何だ?オリヴィエもいたのか?」               「それは別にいいんだけど、他にクラヴィスに言うことはないの?」               「あぁ・・・・」              ジュリアスはしばしば考えを巡らせた挙げ句・・・               「暖かくなったとはいえ、風邪を引かぬようにな・・・」               「そーじゃなくて、何かほらっもっと別のこと!」               「あぁ、ヴィクトール。あの橋だが少し不安定の様だぞ、吊り橋にしては揺                れが大きすぎる改善の必要がある様だが・・・と言った感じだが」               「それだけ?」               「・・・・あぁ」               「ホントに?」               「だから、何なのだ!さっきから」              オリヴィエのしつこさにジュリアスはイライラしてきたようである。「まずい」             と感じた3人は引き下がることにした。ジュリアスが歩き出したとき・・・               「ジュリアス最後に1つだけ!」               「何だ?」               「あの橋渡ってる時に、ドキドキ心臓が言わなかった?」               「あぁ、最初だけな。後は馴れてしまった、あの様に長い橋だからな・・・」                            ががぁぁぁーんっ。              ジュリアスがいなくなったその地で4人は作戦失敗に心を沈ませた。              「つまり、長い橋と柔軟性が強い人はダメだって事?」              「そう言う事みたいだな・・・・」              「そうですね・・・・」              「・・・・グズッ」                        クラヴィスが泣き出した。              「ほっほら、クラヴィス。少しはジュリアスと仲良く馴れたじゃない!ハンカ               チももらったし・・・。前よりは一歩前進だよ!」              くっ苦しい言い訳である。クラヴィスはハンカチを握りしめながら「ホント?」             とばかりにオリヴィエを見上げる。              「ホント!ホント!大丈夫よ!今度また頑張りましょう!断然、燃えてきたわよ             私は・・・・ふふふっ。ジュリアス、きっとアンタを落として見せるわよ・・・ふふふっ。             おーほっほっほっほ・・・・」              オリヴィエの高笑いは湖の湖面にびりびりと響いた。ホントに大丈夫なの?オリ             ヴィエ様。今度、今度こそは大丈夫?              そんな言葉を残しながらも「作戦実行その3」は終わる。クラヴィスはオリヴィ             エの熱意もそっちのけでジュリアスにもらったハンカチをニコニコと頬笑みながら             見つめていた・・・。
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                                         「引っ張った割にはこの落ちかい!」と言われそう                           ですが・・・(汗)でも、今回のクラヴィス様は何時も                           の「恥じらい」にしてはお喋りでしたvクススッ。