はじめて
「ジュリアス、暫く逢うのを止めるか?」
突然、クラヴィスがこんな事を言った。
「なっ何故だ。」
「そう思ったからだ・・・」
何か私は悪いことをしたのだろうか・・・。何かクラヴィスの嫌な行動でもしただろうか・・・。
私はこういう恋愛にとか疎いから私は私なりに随分と頑張ったつもりなのだが・・・まだ、
何かダメだったのだろうか・・・
「お前は疲れている」
「・・・疲れてなどいない。執務が今立て込んではいるがちゃんとすませてきたし・・・」
「それだ・・・そう言うことをするからだ」
「・・・・?」
クラヴィスに逢いたいと、執務を早くすませる事がいけないのだろうか・・・。
「お前は何時も無理をする。私の約束があるからと、無理をして多量の執務をこなす。
私としては嬉しいのだが無理をしているお前を見るのは痛々しい・・・。」
「・・・・・」
「逢うのが無理なら言ってくれ、お前は多分それで嫌われるかも知れないと思っている
のだろうがそんな些細な事でお前を嫌いになることはない。」
「でも・・・・クラヴィスに逢いたいのは事実だし・・・」
「1人で無理なことは私に言えばいい、私も手を貸そう・・・・お前が望むなら幾らでも。」
「・・・折角、そなたが逢おうと言ってくれるのに断ると嫌われる嫌な思いをさせると思っ
たから」
そう、嫌われる嫌な思いをさせると思った。こんな恋人同士と言うものに始めてなっ
て好きな相手の言うことなら何でも聞きたいと思ったから・・・
「・・・だからな、ジュリアス。1人で全てを済ませようと苦しい思いはしないで、そう言
う時は私の事を呼んでくれ・・・好きな相手の言葉は全て聞きたいと思うお前の思いは嬉
しい・・心からな。だが、私のためにそんな無理をしないでくれ・・・身体を壊したりでも
したらどうするのだ」
「では、無理な時はそなたに甘えてしまってもいいのか?」
「あぁ・・・そうしてくれると私も嬉しい」
苦しい時は苦しいと、無理な時は無理だとそなたに甘えてしまってもいいのだな・・・。
それを言っても側にそなたはいてくれるのだな・・・
「・・・・では、クラヴィス」
「何だ?」
「・・・少し眠りたいのだが・・・いいか?」
「ふっ、いいぞ私の膝で眠るがいい・・・」
クラヴィスは黒曜石の瞳を細めて微笑むと私の頭を膝に乗せてくれた。クラヴィスの
細い指が私の髪を撫でる。
疲れた時には疲れたと。
無理な事は無理な事だと。
眠りたい時は眠ってもいいと。
甘えたい時は甘えていいと。
そんな事誰も言ってはくれなかった。
けれど、クラヴィスは私にそう言ってくれた。
back